「ベースマン」飯田橋本店の店長「こんな状態を見たことない」
長引く新型コロナウイルス感染拡大は、少年野球の思わぬところにも影響が出ている。捕手の防具を買い求める選手やチームが増える一方、生産が追いついていないという。東京都にある野球用品専門店「ベースマン」飯田橋本店では「こんなにスカスカな状態は見たことがない」というくらい品薄になっている。
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東京都新宿区の野球用品専門店「ベースマン」飯田橋本店の2階に、ジュニア専用フロアができて21年目を迎えた。品ぞろえには自信を見せる春成浩一店長だが、驚きを隠せない異例の事態が起きている。
「こんなに捕手の防具売り場がスカスカになったのは見たことがありません。注文が入っても、商品が入ってこない状況が続いています」
捕手はマスク、プロテクター、レガースをつける。一式でそろえると3万円ほどかかる。5万円を超えるものもあり、決して安い買い物ではない。だが、必要に迫られて購入する少年野球チームや選手が増えている。理由は新型コロナウイルス対策。特に、直接顔に触れるマスクは選手個別のものにして、感染拡大を防ごうとしている。
東京五輪の金メダル獲得でソフトバンク・甲斐に憧れる子どもが増加
少年野球では近年、投手の球数制限が導入されたが、捕手も投手と同じくらい肩や肘を消耗する。そこで、投手同様に複数の捕手を育てるチームが増えている。捕手の人数が増えれば、必要な防具も増える。
感染症対策の他にも需要が高まった要因がある。昨年開催された東京五輪。金メダルを獲得した日本代表の中心にいたのが、ソフトバンクの甲斐拓也捕手だった。投手陣をけん引してベストナインにも選出。春成店長は「甲斐選手の姿に憧れて、捕手をやりたい子どもたちが増えました」と五輪効果を感じている。
注文が増えるのは野球用品店にとって追い風になるはずだが、売り上げには直結していない。一部メーカーを除いて、防具は海外で製造されているためだ。世界的に新型コロナがまん延して工場の稼働ペースが落ち、受注しても品物が日本に入ってこない。少年野球は新型コロナ感染拡大でチームの活動が減り、大会も中止や規模縮小を余儀なくされている。その影響は野球用品にまで及んでいる。(間淳 / Jun Aida)
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