初連勝の阪神、巻き返しへ一筋の光? 球団OBが太鼓判押す新たな“勝利の方程式”

阪神・岩崎優【写真:荒川祐史】

守護神・岩崎が2試合連続でセーブを記録

■阪神 2ー1 巨人(16日・甲子園)

開幕から苦しい戦いを強いられていた阪神は、16日に行われた巨人戦(甲子園)を2-1で勝利し、19戦目にして今季初の連勝。来日初登板・初先発のウィルカーソンが6回1失点、リリーフ陣も無失点に抑え接戦をものにした。現役時代に阪神をはじめヤクルト、日本ハムなどで計21年間捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は、1回無失点で9回を締め、セーブを挙げた岩崎優投手について「抑えに必要な条件を持っている」と、適性に太鼓判を押した。

今シーズン、初めて1点差を守り切り勝利を手にした。先発のウィルカーソンは140キロ台中盤の直球とチェンジアップを駆使して5回まで無失点。6回は4番の岡本和に左前適時打を浴び1点を失ったが、6回1失点と先発の役割を果たし来日初勝利を飾った。

巨人打線に的を絞らせない緩急を生かした投球を「一言で言えば奥行き。打者の反応を見た感じでは、真っすぐがスピードガン表示より早いタイプです。144、145キロで差し込まれている場面が多く、左右の打者にチェンジアップをうまく使っていました」と野口氏は評価する。

痛打される場面はほとんどなく、相手打者のタイミングを外し、バットの芯で捉えさせない打席が多く見られた。野口氏は「まだ1試合で断言するのは難しいが」と前置きしつつも「コントロールも良かったし、ゲームを作る力はある。今後も先発ローテーション投手として期待はできると思います」と、チームの救世主になる可能性を口にした。

リリーフ陣の活躍も忘れてはいけない。ウィルカーソンが降板してからは7回にアルカンタラ、8回は湯浅、そして9回は守護神・岩崎が1回を1安打無失点で締め、2試合連続でセーブを記録。開幕から課題とされていた7、8、9回の“勝利の方程式”が形になりつつある。

セットアッパーは4年目の湯浅、ピッチング覚えればまだ成長

4年目の湯浅は12日の中日戦(バンテリン)では1点リードの8回に登板し、阿部に同点打、石川昂に勝ち越し打を浴び敗戦投手となったが、ここまで9試合に登板し4ホールド、防御率2.16と安定した成績を残している。

矢野監督の期待も大きく、今季はセットアッパーとして起用されている。野口氏は「今日の試合はミスショットに助けられた部分もありますが、まだ実質1年目。結果が出ればまず良しといえます。“ピッチング”を覚える必要はあるものの、それは成長していく過程のなかで身につけていけばいい」と指摘する。

開幕から抑えを任されていた新助っ人のケラーは2度のセーブ機会に失敗し、2軍で調整中。セットアッパーを務めていた岩崎がこの連勝劇では“代役守護神”として安定した投球を見せたのは大きい。今後についても野口氏は「メンバー構成を見てもこのままでいくのではないでしょうか。ボールが強いのは当然ですが、マウンド上で表情を変えることもなく、メンタルも強い。抑えに必要な条件の一つです」と、適性に太鼓判を押す。

昨季まで守護神を務めていたスアレス(現パドレス)の穴を埋められず、苦しい戦いが続いていた阪神にもやっと光が見え始めてきた。勝ちパターンを確立できれば、まだまだ巻き返すチャンスは十分にありそうだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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