「自分の打撃を捨てる勇気も必要」 “三振しない男”が考える佐々木朗希の攻略法

日本ハム戦に先発したロッテ・佐々木朗希【画像:パーソル パ・リーグTV】

現役時代に通算7963打席で422三振。三振率5.3%だった新井宏昌氏

■日本ハム 1ー0 ロッテ(17日・ZOZOマリン)

【実際の映像】打者は手も足も出ない! 佐々木朗希がインコースにズバッと決めた163キロの映像

難攻不落の投手を攻略することはできるのか? 17日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で8回まで完全投球を続けたロッテの佐々木朗希投手。8回完全のままで降板となり、史上初の2試合連続の完全試合こそならなかったが、プロの打者が17イニング連続でヒットどころか1人の走者も出せていない異次元の状況となっている。

160キロを超える直球に落差の大きなフォーク。ほぼ2種類の球種で打者を手玉に取る若き右腕を南海、近鉄で通算2038安打を放ち名球会入りした野球評論家・新井宏昌氏が打者目線で分析。この日の佐々木朗の投球を「前回もそうだったが、遊び球はなく早めに追い込む組み立てだった。ボールが2つ、3つと続かない。球も速いがコントロールもいい。日本ハムの打者は真っすぐと分かっていながら打ちにいってもファウルになっていた」と語る。

無双状態の佐々木朗を打ち崩すことは可能なのか。通算7963打席でわずか422三振、5.3%という驚異的な低さの三振率を記録し“三振しない男”としても名を馳せた新井氏は「追い込まれてから147キロのフォークは中々、打てない。余程の事がない限り3球連続でフォークはない。真っすぐのストライクを前に飛ばさないと話にならないでしょう」と、攻略の糸口を明かす。

「『強い球は強く打たなくていい』ぐらいの気持ちが必要」

「キレのある160キロの直球に対して、強くスイングしてもバットはボールの下を通過する。この日の打者もそうだった。『強い球は強く打たなくていい』ぐらいの気持ちが必要。ポイントを前にしてボールを上から叩くぐらいのショートスイングが理想」

こう語る新井氏も現役時代は日本球界屈指の速球投手として知られた阪急・山口高志氏と何度も対戦してきた。その経験を回顧し「自分の打ち方を変える必要があったのは山口さんだけだった」という。

佐々木朗と対戦した打者は真っすぐでファウル、空振りを奪われ、追い込まれてからフォークで仕留められる場面が多いだけに「普通の投手じゃないというイメージで入らないといけない」とし「時には自分の打撃を捨てる勇気も必要。ほとんどの打者は真っすぐに絞って打席に入っているが、それでも打てない。捉えた人がいないのだから」と指摘した。

今シーズンはここまで4試合に登板して2勝0敗、防御率1.16。31イニングを投げて、与えた四死球はわずか3つと制球を乱すことはない。さらに、打者101人と対戦して56奪三振。奪三振率16.26を誇る右腕を攻略するチームは現れるのか、今後も注目が集まる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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