野鳥撮影に夢中 山下さん(82)の新たな趣味 カワセミの写真など冊子に

「野鳥を撮影していると時間を忘れて夢中になる」と語る山下さん=長崎市中島川

 「目の前に青い小さな鳥がいた。身近にこんなきれいな野鳥がいるんだと驚いた」。長崎市桜馬場2丁目の山下和雄さん(82)は、79歳の時に出合った趣味、バードウオッチングにはまっている。これまでに撮りためた写真を、小冊子「中島川の野鳥たち」(A5判、68ページ)にまとめた。
 山下さんは毎朝、1時間ほどの散歩を習慣にしている。3年前のある日の散歩中、同市中島川のほとりで色鮮やかな青い野鳥を見かけた。知人からカワセミという鳥だと教えてもらい、追いかけ始めた。
 野鳥図鑑を手にして見比べるうちに、中島川にはカワセミ以外にもたくさんの野鳥がいることを知った。コサギ、セグロセキレイ、カイツブリ…。カメラで次々と撮影し、自宅の壁の一角は写真で埋め尽くされた。そんな写真を使って制作したのが今回の小冊子。撮影時のエピソードを添え、30冊制作し身近な人に配った。

山下さんがまとめた小冊子「中島川の野鳥たち」。表紙写真は大好きなカワセミだ

 猛禽(もうきん)類ミサゴとの出合いは2回だけ。うち1回は、捕らえた大きなコイを石の上で食いちぎるダイナミックなシーンだった。潜水して魚を捕らえるカワウとの遭遇も数回しかない。おこぼれの魚を頂戴しようと後を追うアオサギとのユーモラスな関係に見入った。
 「よりいい写真を撮ろうと、だんだん欲が出てくる。次は羽を広げるんじゃないか、次は川に飛び込んで餌を取るんじゃないかと、動きを先読みしてシャッターチャンスを狙う。鳥には鳥の考えがあってこちらの思うようにはいかないが、それが楽しい」。生き生きした表情で語る。
 「まさかこの年になって新たな趣味に没頭するとは。人生って不思議だ」と述懐する山下さんが、今後撮りたいと願っているのは、カワセミのホバリングと求愛給餌。ホバリングとは魚を狙って羽ばたきながら空中で静止すること、求愛給餌とは雄が雌に捕らえた魚を与えて求愛することだ。「やはり一番好きなのはカワセミ」。まるで少年のような笑顔を見せた。


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