諫早・千々石ミゲル墓所推定地 出土遺骨は「男性」

ほぼ全身の骨格が出土した2号墓=昨年9月16日、諫早市多良見町

 天正遣欧使節の一人、千々石ミゲルが埋葬されたとみられる長崎県諫早市多良見町山川内の墓所推定地から昨年出土した遺骨が、男性のものと鑑定されたことが18日、分かった。昨年の第4次発掘調査を実施した民間の「千々石ミゲル墓所調査プロジェクト」が明らかにした。
 同所ではこれまでに、ミゲルの息子、玄蕃(げんば)の名前と禁教令後の1633年に没した男女2人の戒名が刻まれた日蓮宗形式の墓石、成人女性を埋葬した1号墓が見つかり、玄蕃は墓の施主とみられている。4次調査では、墓石の建立と1号墓、新たに発掘された2号墓の造営がほぼ同時期だったことも確認され、同プロジェクトは「ここがミゲル夫妻の墓所と確定することが妥当と判断した」としている。調査結果は、同プロジェクトが設置した発掘調査指導委員会(委員長・谷川章雄前日本考古学協会長)に報告した上で23日に正式発表する。今秋には報告書をまとめる予定。
 4次調査はミゲルの子孫や識者らでつくる同プロジェクトが昨年8、9月に実施し、墓石に向かって左側で2号墓を確認。脚を折り曲げた形で埋葬されたほぼ全身の骨格が出土し、専門家に鑑定を依頼していた。
 2017年の調査で発見された1号墓からはキリスト教の信仰用具の一部、推定年齢25~45歳の女性の歯、骨の一部などが出土した。2号墓は1号墓に比べ一回り大きな規模。ただ、1号墓が内部を覆うように3枚の大きな石板が置かれ、穴の周囲は石などで固められていたのに対し、2号墓は木棺直葬の形だった。
 ミゲルは同使節の4人の中で唯一、キリスト教を棄(す)てたとの見方があり、晩年については謎が多い。ミゲルの子孫で、同プロジェクト代表の浅田昌彦さん(68)は「1号墓と2号墓の埋葬の違いについての宗教的な意味合いなどについては、専門家の議論を待ちたい」と話した。


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