5月開催予定の第2戦が世界情勢の懸念により延期。7月“ダブルヘッダー”戦での再開を予定/エクストリームE

 2022年の“シーズン2”よりFIA国際自動車連盟のインターナショナル・シリーズに昇格した電動オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』だが、5月7〜8日の週末に予定されていたイタリア・サルディニア島での第2戦『The Island X Prix』が、現在の世界的有事を受け7月まで延期されることが決定。

 これは東欧を舞台にヨーロッパから世界へと波及する、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を受けての判断となり、イベント開催地として計画されていたイタリアの軍事基地が現在の地政学的状況により「トレーニング目的でサイトを使用する必要が出たため」の措置となった。

 サルディニア南西部のテウラダ岬を中心とした地域にあるイタリア軍基地は、初年度にも新型コロナウイルスパンデミックにより、あえなくキャンセルを決めた南米イベント群の代替地としてシリーズに組み込まれた。しかしそのイタリア戦もまた、今回は別の問題でスケジュールどおりの開催が難しい状況に追い込まれた。

 そのほかのカテゴリーと同じく、ロシア軍事侵攻のあおりを受けた形のエクストリームEだが、主催側は2022年に全5戦のチャンピオンシップを遂行するため、7月4日から始まる同月第1週にもサルディニア島でのダブルヘッダー・イベントを計画。最初のイベントは7月6日(水)と7日(木)に実施され、セカンドヒートは7月9日(土)と10日(日)の週末に開催する代替スケジュールが組まれた。

サルディニア南西部のテウラダ岬を中心とした地域にあるイタリア軍基地で「トレーニング目的でサイトを使用する必要が出たため」の延期措置となった
昨年の同イベントでも、セバスチャン・ローブ/クリスティーナ・グティエレス組が予選最速を記録している

■現在の状況は「我々の制御が及ばないもの」とCEO兼創設者

「もちろんイベントを延期するのは残念だが、我々はオーガナイザーやイタリアのホスト側と完全協力のもと運営されているグローバルシリーズであり、現在世界を覆っているこれらの状況は、我々の制御が及ばないものでもある」と語るのは、エクストリームEのCEO兼創設者であるアレハンドロ・アガグ。

「今回の有事を受け、我々としても地元サルディニアのホストや、チーム、パートナーらと緊密に協力し、代替プランの策定を進めている。もちろん優先しなければならない深刻な問題に直面しており、状況を謙虚な視点で眺める必要があるが、関係者全員の柔軟性に感謝している」

 その後のシーズン2後半戦はこれがシリーズ初上陸となる南米イベントを予定し、チリ北部の州都アントファガスタで開催される『Copper X Prix』は、9月24〜25日の日付に改訂され、ウルグアイのプンタ・デル・エステでのシーズンフィナーレ『Energy X Prix』は11月26~27日にスケジュールされている。

 先の2月中旬に開幕戦を終えている2022年だが、サウジアラビア政府が計画する新たな産業都市「NEOM」プロジェクトの砂漠を舞台に、ニコ・ ロズベルグ率いる初代王者ロズベルグ・Xレーシング(RXR)のヨハン・クリストファーソン/ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー組が、初年度に続く開幕戦制覇を決めており、チャンピオンシップではルイス・ハミルトン創設のX44から参戦するセバスチャン・ローブ/クリスティーナ・グティエレス組が初年度から続くシリーズでの“予選セッション100%制覇”記録を継続するとともに、RXRを追う展開となっている。

チリ北部の州都アントファガスタで開催される『Copper X Prix』も、9月24〜25日の日付に改訂された
最初のイベントは7月6日(水)と7日(木)に実施され、セカンドヒートは7月9日(土)と10日(日)の週末に開催予定だ

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