豊田通商(名古屋市)は21日、ドローンを使って医薬品を運ぶ事業を長崎県五島の離島間(福江島-奈留島、往復約40キロ)で5月に始めると発表した。交通や物流が不便な離島地域で、緊急時に薬や物資を届けられるようにするのが目的。
同社は昨年4月に現地子会社「そらいいな」を設立し準備を進めていた。ドローンによる離島間の定期物流は九州で初めて。
同社によると、米ジップライン社の固定翼機ドローンを使用する。最大積載量は1.75キロ。巡航速度は時速100キロ。医薬品卸会社3社と契約し、奈留島の医療機関などに薬を届ける。自動飛行で目的地まで向かい、上空からパラシュート付きの箱を投下。その後、福江島の発着拠点に戻ってくる。1日2~4便の定期運航を想定している。
事業が軌道に乗れば、福江島西部、久賀島など周辺の離島、新上五島町などにも配送エリアを拡大する予定。現在、操縦者の目の届かない範囲では、山間部や海上しか飛ばすことができないが、法規制が緩和されれば、市街地上空での運航も目指す。
五島市であった発着拠点の竣工式には大石賢吾知事や野口市太郎市長ら約70人が出席。豊田通商の貸谷伊知郎社長は「地域の皆さまの生活をより快適にしたい」、「そらいいな」の松山ミッシェル実香社長は「安心安全なサービスを提供できるよう尽力する」とあいさつした。デモフライトも行われ、関係者がドローンの発着やパラシュート付きの箱を投下する様子を見学した。