17年に初の規定打席到達も昨年までの4年間は苦しんだ
日本ハムの松本剛外野手が開幕から好調を持続し、4月21日終了時で打率.403(62打数25安打)。両リーグで唯一4割台をマークし、リーグトップに立っている。2017年に活躍した後、昨年までの4年間は苦戦が続いていたが、今季はキャリアハイのシーズンを送りそうな気配。昨年までと比べてどこが変わったのか。「セイバーメトリクスで用いられる各種指標」「コース別打率」「球種別打率」から、覚醒の理由を探る。
松本剛はプロ入りから5年間は目立った結果を残せなかったが、6年目の17年に台頭した。交流戦で全体2位となる打率.396を残すと、そのまま右翼のレギュラーに定着。自身初の規定打席に到達し、打率.274をマークした。翌18年は一転して打撃不振に陥り、レギュラーの座も失うことに。その後も苦しい時期が続いたが、昨年は9月に打率.412をマーク、復調の兆しを見せていた。
17年に初の規定打席到達も昨年までの4年間は苦しんだ
プロ11年で通算223安打、打率.259、7本塁打、通算長打率.327(4月21日時点)と決して長打が多いタイプではないが、今季は既に3本の二塁打を記録している。得点圏打率は16年から3年連続で3割を超えていたが、20年から2年連続で1割台と苦しんでいた。しかし、今季は.667という驚異的数字をマークしている。
また、これまでにシーズン2桁盗塁は1度もなかったが、今季は既にリーグトップの7つを記録。成功率も.778と一定以上の水準にある。打撃のみならず、走塁面でも進化を遂げていると言えそうだ。
17年当時は苦手だったカットボールやカーブにも対応している
コース別の打率では、17年はど真ん中に対して.344。外角高めを除く8つのストライクゾーンに対して.260を超える数字を残した。一方、昨年はボールゾーンで打率5割以上を記録した個所が3つ存在したが、真ん中は.182。真ん中を除くストライクゾーンは全て.250以上だった。今季は内角真ん中を除く8つストライクゾーンに対して打率.250以上を記録。そのうち5つのコースで5割以上の数字を残している。
球種別打率では、17年はカットボールとカーブを除く6つの球種に対して.250以上。シンカー・ツーシームに.529で、シュートも.333とよく打っていた。昨年はチェンジアップに対して.429。カーブに.333をマークしていた。そして今季は直球、フォーク、チェンジアップ、カーブ、シンカー・ツーシームの5球種に対して5割以上。スライダーも打率.313で、苦手としてきたカットボールも.286を記録している。
松本剛はもともと多くの球種に対応できる選手で、17年当時は苦手だったカットボールやカーブも克服しつつある。
好球必打の積極打法という持ち味を生かし、ストライクゾーンに来た球であれば球種を問わずに強い打球をはじき返す。そうした打撃スタイルと向上した対応力が噛み合ったことにより、今季の絶好調が生み出されているのではないだろうか。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)