先発投手の「不安が一気に高まる」 ハム上沢が7失点炎上…首脳陣が指摘した要因は?

日本ハム・上沢直之【写真:町田利衣】

佐々木朗希と投げ合った前回登板からは一転…2発浴びて3回7失点

■ソフトバンク 9ー3 日本ハム(23日・札幌ドーム)

日本ハムは23日、本拠地でソフトバンクに3-9で敗れた。中5日で先発した上沢直之投手が3回7失点。武田勝投手コーチは、初回先頭打者への四球を乱調の要因に挙げた。

まるで別人だった。前回登板した17日のロッテ戦で佐々木朗希投手と投げ合って7回4安打無失点と好投した姿はない。制球に苦しみ、走者をためると2回には三森に、3回には上林に3ランを許した。初回に先制点をもらった後に大量失点したエースは「チームがいい流れできていたにも関わらず、ぼくの投球でその流れを壊してしまい、とても悔しい気持ちです」と振り返った。

試合前のブルペンでは、いつも通り状態は良かったという。武田投手コーチは「先頭の四球でちょっと自分に自信をなくしたのかな」と初回先頭の三森に与えた四球が歯車を狂わせたと分析した。

立ち上がりのつまずきが、悪循環を生んだ。「うまく高めを使いながら腕を振ってフライを打たせるのが上沢の投球。きょうは低め、低めを意識しすぎて、ボール先行になって、向こうのペースになったのかなと思います。バッターと対戦するより、自分と戦っている時間が長い。気づいたらあっという間に点を取られたという内容でした」と評した。

「僕も経験ありますが、ヨーイドンのフォアボールって、きょうどうなるのかなと不安が一気に高まるんですよ。腕が振れないというか、ストライクを取りにいってしまうような体に使い方になっていたのかもしれませんね。先発をやったことのある人しか分からないと思うんですけど。その日を占う第1球、1人目のバッターにフォアボールをというのは、想定していなかったかもしれないですし、明日本人と確認して、同じことを繰り返さないようなピッチングを期待しています」。現役時代に4年連続2桁勝利をマークした武田投手コーチは、今季まだ勝利のないエースの心中を慮った。

日本ハム・武田勝投手コーチ【写真:荒川祐史】

中4日→中6日→中5日…武田コーチ「今は体を慣らしてもらう時期」

昨季は基本的に中6日でローテーションを守り、自己最多の12勝を挙げたチームの勝ち頭。今季は首脳陣が先発陣の“中4日構想”を持っており、上沢も10日の楽天戦は中4日で先発した。その後は、中6日で17日のロッテ戦、中5日でこの日に臨んでいた。

登板間隔を縮めたことによる影響について武田投手コーチは「ないと思います。今のところはトレーナーからの報告もないですし。今年これを試しながら、来年以降もこういう形になるかもしれない。今は体を慣らしてもらう時期に入っていると思います」と語った。

新庄剛志監督はこの日の試合後、広報を通じて「上沢くんに落ち込むのは30分と伝えました」とコメントした。例年以上にフル回転を求められるエースに下を向いている暇はない。武田投手コーチは「久々に3回7失点というのは落ち込むと思いますけど、次があるので。30分とは言いませんけど、きょう1日くらいはへこんでもらって、明日になったら切り替えて、次の相手に合わせて、体も回復させ、リセットして、気持ち良く投げてもらいたいと思います」と次回登板に期待した。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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