ミゲルの生涯、二つの埋葬方式の違い… 発掘完了も謎多く 千々石ミゲル夫妻の墓所確定

1号墓(右)と2号墓の原寸大の写真を並べて説明する浅田さん=諫早市多良見町

 「千々石ミゲル墓所調査プロジェクト」は23日、天正遣欧使節の一人、千々石ミゲルと妻の墓所を確定できたと会見した。長崎県諫早市多良見町山川内の発掘は2014年から4次にわたった。今回が最後と位置付けていた関係者は結果を感慨深げに受け止める一方、ミゲルの生涯や二つの埋葬方式の違いなど謎も多く残され、今後の研究に期待を寄せた。
 「多くの方の支援があった。こういう結果を発表できることを感謝したい」。同プロジェクト調査統括で、04年に墓石発見を発表した石造物研究家、大石一久さん(70)は万感の表情を見せた。ミゲルの四男玄蕃(げんば)のものと思われていた墓石が、実は両親のために建てた墓石だったことを突き止め、墓所調査に情熱を注いできた。「私の人生にとって、歴史的な人物と会えたことは最高の幸せ」と目を潤ませた。
 一方、妻の1号墓には内部を覆うように3枚の大きな石板が置かれ、周囲は石などで固められていたのに対し、ミゲルの2号墓は木棺直葬の形だった。木棺は約100本のくぎで打ち付けられていたことも分かり、指導委員会の久田松和則副委員長は「密封する形が何を意味するのかなど今後の研究課題」とした。
 同プロジェクトは今秋、報告書をまとめる。ミゲルの子孫で、同プロジェクト代表の浅田昌彦さん(68)は「今後の管理など公的機関とも相談し、より良い道を探っていきたい」と述べた。大久保潔重市長は「今回の調査結果を文化財保護審議会などに報告し、遺跡の今後の取り扱いなどについて意見をいただきたい」とコメントを出した。


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