マイホーム購入か賃貸?メリットデメリットを比べてみよう、お金の超初心者のための考え方

業種や職種によってはリモートワークの機会が増え、家について改めて考える場面が増えました。「マイホームを買ったほうがいいのか、それとも賃貸がいいのか」と悩んでいる人もいるでしょう。

とはいえ、マイホームは一生で一番といえる大きな買い物。価値観も人それぞれで、いったい自分の場合はどう判断したらよいのかと迷ってしまうものです。

そこで今回は、マイホーム購入と賃貸について、それぞれの違いと、どのように考えたらいいのか、ポイントをお伝えします。


「買い直しがしにくい買い物」なので慎重に

リモートワークをする機会が増え、複数の拠点で軽やかに仕事をする人がいる一方で、「オンもオフも過ごす自宅だから、マイホームを買って落ち着きたくなってきた」という声も耳にします。

マイホームは、ほとんどの人にとって、一生で最も大きな買い物です。何十年もローンを組む大きな金額になるため、慎重に考える必要があります。

「マイホームと賃貸とどちらがお得か」という議論がよく出ますが、どこのどんな物件か、買う場合はどれくらいの金利や期間のローンか、賃貸では引っ越しする回数がどれだけあるかなどの条件によっても大きく異なり、一概にはどちらが得だとはいえません。

「マイホームを買う場合と、ずっと賃貸の場合」の違いやメリットデメリットを理解した上で、じっくり検討していきましょう。

「融通度」が違う

まず、マイホームと賃貸住まいとでは、お金のかかり方の“融通度”が大きく違う、という点があげられます。

マイホームを購入する場合、購入を決めてローンを組んだ時点で、数十年物ローン返済が確定します。「収入が下がったから、やっぱり半分くらいの値段にしたい」と思っても、ローンが残っていれば返済し続ける必要がありますし、売却しようと思っても、考えている価格では売れないケースもあり、融通がなかなかきかないのが現状です。

転職や万一のケガや病気で収入がダウンした場合でも、「ずっと返済し続けられるか」を考えたうえで、ローンを組むことが重要です。

一方で賃貸の場合は、「収入が下がったから、半分くらいの家賃のところにしたい」と引っ越すことも可能です。

また「隣の人が気になって、引っ越しをしたい」という場面でも、賃貸住まいならスムーズですが、マイホームではそう簡単にはいきません。

そういった“融通度”で考えると、マイホームよりも賃貸の方が有利ではあります。

ただし、賃貸の場合、隣の人もどんどん入れ替わるケースも多く、「以前は隣の人はよかったけれど、最近引っ越してきた人は困った……」という可能性もある点には要注意です。

「一生の安心感」が違う

次に、住む場所は一生必要だということを押さえておきましょう。

マイホームの場合、ローンを完済すれば、固定資産税のほか、マンションなら修繕積立金や管理費、戸建ての場合は各種修繕費などがかかりますが、毎月の大きな住居費の負担はなくなります。つまり、マイホームは将来までの家賃の一部を早めに負担していると考えてもよいでしょう。

一方で賃貸住まいの場合は、家賃が一生かかり続けるという、心理的な不安がどうしてもつきまといます。「将来は実家が空き家になるので住む」といった予定があればよいですが、そうでなければ、住居費が一生かかると頭に入れておく必要があります。

「カスタマイズの可否やグレード」が違う

マイホームの場合は、注文住宅の場合はゼロから住まいの形を考えることもできますし、マンションでは壁に穴をあけたりといったこともできます。

一方で賃貸住まいの場合は、カスタマイズに制限があり、自分が住まいの状況に合わせていく必要性が高くなります。

また、一般的には住まいのグレード(設備や共用施設等)としては、賃貸物件よりも、分譲のもののほうが高いケースも多く、住み心地は分譲の方がよいことが多いでしょう。

とはいえ、賃貸住まいで、気に入らない点があった場合は、違う住まいに引っ越すこともできるので、賃貸ならではの“融通度”を上手に活用することもできます。

「諸経費のかかりかた」が違う

先ほど、マイホームはローン返済が終わったら、あとは固定資産税と修繕費、マンションなら管理費くらいで済む、という話をお伝えしましたが、逆をいうと、これらの費用は、マイホームの場合はずっとかかる点にも注意が必要です。

賃貸住まいの時に、マイホームの購入を検討する際に、「住宅ローン返済の金額だけ」を見て、「これなら、今の家賃と同じくらいだから、大丈夫そうだな」などと安易に決めてしまうと、さらに、修繕費と、毎年の固定資産税、マンションなら管理費がかかり続けて、「賃貸住まいの時に比べて、住居費の負担がいっきに増えた」ということになりかねないのです。

マイホームを検討する際には、ローン返済だけでなく、諸経費を含めた1カ月あたり、そして1年あたりでかかる金額を確認してから検討しましょう。

「将来のイベント」も考えながら検討しよう

ここまで、マイホームと賃貸住まいの違いについてお伝えしましたが、引っ越しをする、しないにかかわらず、住居との付き合いは一生続きます。

そのため、自分の将来のイベントを思い描いてみることも必要です。

例えば、転勤や留学、実家の親が体調を崩して介護をするなど、同じ物件に住み続けられない可能性もあるかもしれませんし、今はリモートワークがOKの職場でも、部署異動や転職によって出社がマストになるかもしれません。

また、住宅ローンを完済したころに、都会から地方へ引っ越しをしたいという希望が出てくる場合もあるでしょう。

もし、マイホームを買っていれば、そこに住まなくなった場合、住宅を「賃貸に出す」か「売却」を選ぶことになります。個性あふれる物件や、駅からのアクセスが不便な物件は、“借り手”や“買い手”がつきにくくなります。駅からアクセスしやすい物件や、多くの人が住みやすいデザインや間取りであれば、賃貸や売却の際にスムーズでしょう。

一般的に、マイホームを検討するタイミングは、家計にゆとりがある時期です。そのため、身の丈以上の物件を買ってしまい、その後家計状況が変わってローン返済に苦しむケースも多々あります。マイホームを考えることは楽しいことではありますが、将来自分たちが苦しくならないように、長い目でみて考えるようにしたいですね。

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