◆桐光学園7─1横浜
「安心して見ていられたよ」と桐光学園の野呂雅之監督(60)。エース針谷の力強い投球が、快勝への道筋を描いた。
初回こそ「少し力み過ぎた」と得点圏のピンチを背負った。だが、指にかかった球に手応えはあった。「真っすぐで押していきたい」とカーブ、フォークボールを控えめに、球威で横浜打線を封じ込めた。
スタンドからは吹奏楽の音色が鳴り響いた。入学後初めての応援に「すごくうれしかった。自分の力以上のものを出せた」。七回に右脚がけいれんするアクシデントも何のその。124球。最後までマウンドに仁王立ちした。
輝いたのは投球だけではない。打っても適時打を含む2安打。一走だった六回1死の場面は、捕邪飛で二塁へタッチアップを決めた。「打球はフェンス際だった。桐光学園の野球は2死二塁とか、一本で本塁にかえる走塁を心掛けている」と本人は涼しい顔。「勝因の一つ」(野呂監督)という好判断で貴重な追加点につなげた。
ベスト4の秋は6完投と絶対的な存在も、今春はこれまで背番号1を2年中平に譲ってきた。制球向上のため、左足をゆっくり着地するフォームを固め、名門との一戦でエースナンバーを取り戻した。
見据える神奈川の頂まで、あと二つ。「しっかり準備して全力で挑む。先発でも抑えでもゼロで抑えたい」と頼もしさは増している。