社長の平均年齢 過去最高の62.77歳 2021年「全国社長の年齢」調査

 2021年の社長の平均年齢は、調査を開始した2009年以降、最高の62.77歳(前年62.49歳)だった。調査開始から毎年、平均年齢は上昇をたどり、社長の高齢化が鮮明となった。
 社長の高齢化に伴い、業績悪化が進む傾向がみられる。直近決算で減収企業は、60代で57.6%、70代以上で56.8%だった。また、赤字企業も70代以上が24.0%で最も高く、60代も23.2%だった。
 高齢の社長は、一般的に進取の取り組みが弱く、成功体験に捉われやすい。また、長期ビジョンを描きにくく、設備投資や経営改善に消極的になる傾向がある。この結果、事業承継や後継者育成も遅れ、事業発展の芽を自ら失うケースも少なくない。
 2021年の「休廃業・解散」は4万4,377社で、70代以上の社長が62.7%を占め、初めて6割台に乗せた。このように社長の高齢化は事業承継の遅れだけでなく、起業数の伸び悩みとの関連もあるが、倒産や休廃業・解散にも直結しやすく、今後の動向には注目が必要だ。

  • ※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から2021年12月時点の代表者の年齢データを抽出、分析した。前回の調査は2021年8月。「社長」は、代表取締役社長のほか、個人事業主や理事長などを含む。

年齢分布 最高は70代以上の32.7%

 2021年の社長の年齢分布は、70代以上の構成比が32.7%(前年31.8%)で、2019年以降、3年連続で構成比が最も高かった。50代は構成比が24.1%(同23.7%)と上昇が続くが、30代以下、40代、60代は構成比が前年を下回った。

社長年齢

社長の年齢に反比例する企業業績

 社長の年代別に企業業績をみると、直近決算で「増収」は、30代以下が47.9%で最も高かった。一方、70代以上は32.4%と最も低く、社長の高齢化に伴い増収率が下がる傾向がみられる。また、70代以上は「赤字」や「連続赤字」の構成比が最高で、社長の年齢と業績への相関関係には注意が必要だ。

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「休廃業・解散」の平均年齢は70歳超

 2021年に「休廃業・解散」した企業の社長の平均年齢は、71.00歳(前年70.23歳)と、2年連続で70代になった。
 生存企業の社長の平均年齢は62.77歳(前年62.49歳)で、差は8.23歳(同7.74歳)に拡大した。
 「休廃業・解散」した企業の社長の年齢別分布は、70代以上が62.7%(前年59.7%)だった。一方、30代以下は0.91%(同0.98%)と、1%にも満たなかった。
 「休廃業・解散」は、70代以上の社長の構成比が2017年の50.2%から、2021年は62.7%と12.5 ポイント上昇している。

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都道府県別 平均年齢の最高は秋田県の64.91歳

 都道府県別では、社長の平均年齢の最高は秋田県の64.91歳だった。前年64.13歳より0.78歳上昇し、調査を開始した2009年以降で初めてトップになった。以下、高知県64.88歳(前年64.25歳)、長崎県64.19歳(同63.33歳)、山形県64.13歳(同63.67歳)、岩手県64.10歳(同63.70歳)の順。一方、最年少は3年連続で広島県61.45歳(前年61.23歳)だった。
 総務省統計局の人口推計(2021年10月1日現在)から算出した「65歳以上人口比率」をみると、社長の平均年齢が高い秋田県は38.1%(全国1位)、高知県は35.9%(同2位)と高齢化が顕著。一方、社長の平均年齢が低い広島県は29.7%で、全国34位だった。また、65歳以上人口比率が最も低い東京都の社長の平均年齢は62.70歳(前年62.49歳)で34位だった。

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