非正規の女性の年収は平均197万円、35歳から正社員になった場合に年金額はどのくらい増やせる?

40歳前後の人たちは「ロスジェネ」世代と呼ばれています。1990年代後半から2000年代前半の「就職氷河期」に社会に出た世代のことを指します。バブル崩壊によって「失われた10年」の時です。ロストジェネレーション、略してロスジェネです。景気が低迷していた時期に新卒として社会に出た人たちです。そのため希望通りの職業に就くことができないばかりか、非正規社員や、なかには無職などとなった若者の世代です。

とくに損をしたのは、女性で、男性に比べても非正規雇用が多く、現在も低賃金での生活を強いられています。

非正規雇用だと、収入が安定しないなどの理由から未婚率も高くなります。低賃金で、親と同居し、生活を親に依存しなければ生活が送れない独身者も多くいます。また70代の親に40代の子の「7040問題」など、この世代はさまざまな問題を抱えています。

では、このロスジェネの世代の人が、高齢になるとどんな老後になるのでしょうか?

国際医療福祉大学の稲垣誠一教授によると、約40年後、未婚だったり離別した65歳以上の女性の約半数290万人が生活保護より低い収入になるという予測があります。かなり衝撃的なデータです。女性が将来どのくらいの年金を受け取ることができるのかを予測しながら、対策を考えてみましょう。


非正規の女性の年収は平均197万円

生まれた年で、「アタリ」「ハズレ」がきまり、たまたま就職氷河期のときに卒業したからといって、一生非正規雇用で働くようになるというのは、理不尽な話です。

しかし、日本の多くの企業は、新卒一括採用、年功序列、終身雇用が、まだ多いのも事実。就職氷河期によって、正社員になれなかったため、非正規雇用のまま、仕事を続けているという人が多く、なかなか再チャレンジが難しいのが現状です。

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本調査」によると、40〜44歳の非正規雇用の平均年収は212万円。男性が約241万円、女性が197万円です。ちなみに正社員の平均年収は約344万円です。

非正規の場合の賃金はあまり上がりません。65歳まで仕事を続けた場合、65歳での年金受給額はどのくらいかというとは約10万円です。このままだと老後は、生活保護レベル以下になるという予測です。老後資金を貯めることができればいいのですが、年収約200万円では、貯蓄するのも難しいでしょう。

35歳で正社員になった場合

現状のままだと、かなり厳しい老後生活が待っているというのが想像できます。どうすればいいのでしょうか?

非正規雇用で、給与が少ないことに大きな問題があります。貯蓄もできませんし、結果、年金だって受給額が少なくなります。「どうせ無理」とあきらめずに、まず正社員を目指してみましょう。

10年以上非正規雇用だとしても、ずっと働いて、スキルを身につけているはずです。10年以上のスキルを持っているのは、強みです。たとえいまの会社がダメでも、あなたを認めてくれる企業もあるはずです。諦めない心でトライしてみてください。

ここでは、キャリアアップした場合をシミュレーションしてみます。

例えば、35歳で正社員になって月収30万円で働くようになったと想定しました。

60歳から70歳までは再雇用として月額15万円で働いたとします。70歳まで働くので、その間は、年金を受け取らずに、繰下げ受給をします。そうすると70歳からの年金受給額は17万7,000円になります。

単身者の1ヵ月の平均生活費は約15万円(厚生労働省「家計調査」2019年)なので、約3万の黒字になるということです。

賢く相談して、制度を上手く使ってスキルアップを

ここで、「まずは正社員を目指しましょう」と、提案しましたが、現実的にハードルが高いかも知れません。かといって、そのままだと将来困るというのは、ほぼ間違いないでしょう。そこで、スキルアップの方法として、資格や研修期間を利用する手もあります。

職業相談や就職支援も、ハローワークに相談をしてみるなどもしてみてください。全国には「わかものハローワーク」「わかもの支援コーナー」「わかもの支援窓口」などが設置されています。

また、非正規雇用でも雇用保険には加入しているはずですから、雇用保険の教育訓練給付制度を利用する方法もあります。資格などを取るために、講座の受講料の一部を教育訓練給付金として支給されます。一般教育訓練は20%、特定一般教育訓練は40%、専門実践教育訓練は50%支給されます。これらの制度を使って、キャリアアップにチャレンジしてみてください。

ここで使った例は、正社員にキャリアアップするためですが、フリーランスとして独立するといった方法もあります。

8割の人が老後のお金を心配している

老後の生活、老後のお金のことを約8割の人が心配しています。いまのままで大丈夫なのか不安ですよね。

では、自分の将来のためにどんなことをどうすればいいのでしょう? 自分の老後、お金のために何をすべきなのか? ということですね。これは、それぞれ働き方や置かれた状況により違ってきます。

たとえば、共働き夫婦・シングル・フリーランス・自営業・シングルマザー・派遣社員、復職を検討している人、離婚を考えている人、介護離職を検討している人、起業を計画中の人など、さまざまなケースで違ってきます。さまざまなケース別に、将来の年金額をシミュレーションして、自分のリアルな状況を理解してください。その上で、豊かな老後生活をするには、どうすればいいのかという対策を考えなくてはいけません。

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