さかきん発酵鍋 上越の新名物に 観光・地域振興へ開発 上越市で試食会

 上越地域の観光振興と地域活性化を目的に開発された「さかきん発酵鍋」の試食会が22日、上越市西城町3のデュオ・セレッソで開かれた。企画した上越発酵鍋開発普及実行委員会では5月20日まで、鍋を提供する飲食店を募集中。9月30日に市民向け完成披露会を開き、越後謙信SAKEまつりなどでの出店で普及を図るという。

試食会で披露された「さかきん発酵鍋」(右がみそベース、左がトマトベース)

 実行委員長で、岩の原葡萄園の神田和明社長は上越への地域貢献を考える中で、観光面に着目。「上越地域は海と山に囲まれ食材が豊富だが、これだという名物がなく、県内他地域と差別化もできない」と懸念し、これらを踏まえ、発酵のまち上越、豊富な食材、酒かすを組み合わせ、「発酵学の父」とも称される坂口謹一郎博士にちなんだ鍋として、開発した。

 神田社長は「宿泊や居酒屋でじっくり味わうもの」とイメージを語り、日帰り客向けで手軽に味わえる雪室酒かすラーメン、お土産のメイド・イン上越と合わせた通年観光への効果を期待。今回の事業は県観光地域づくり支援事業補助金の採択を受け、3カ年で取り組む事業だが「10年単位の計画で、上越地域を盛り上げていきたい」と思いを込めた。

 試食会では代表調理例として、デュオ・セレッソの日本料理を担当する髙島将巳さんによるトマトベース、みそベースの2種類が披露された。各店で提供する際は、この2種類の味であることに加え、上越3市の酒かすや食材を使用することがルール。食材の種類や、締めのご飯や麺などのアレンジは自由だという。

飲食店、行政関係者が試食。通年、安定した提供や季節感など、さまざまな意見・質問を挙げた

 飲食店や行政などの参加者からは、より酒かすの風味を生かした調味や、さらなる上越産食材の活用、酒かすの安定供給などの意見、アイデアが挙がった。高田地区のホテルから参加した30代男性は「コロナ禍も考えて1人鍋にするのか、通年提供するには季節感をどう出すか、考えていかないと」と先を見据えていた。

© 株式会社上越タイムス社