栃木県の感染リスク通知 1年半で配信ゼロも…知事「効果あった」

「とちまる安心通知」のQRコード読み取りを呼び掛ける掲示物が置かれたコンビニ=2020年11月、宇都宮市内

 店舗などに掲示された専用QRコードを読み取ることで新型コロナウイルスの感染リスクの通知を受け取れる栃木県の「とちまる安心通知」について、福田富一(ふくだとみかず)知事は26日の記者会見で、2020年9月の導入後、登録者に通知を配信した実績が1件もないことを明らかにした。オミクロン株の流行で制度が実態と見合わなくなっていることもあり、6月末で運用を打ち切る。

 安心通知は県公式「LINE(ライン)」アカウントの一機能。22日現在、QRコードの発行は計3316件、通知の利用者は2万1401人となっている。

 接待を伴う飲食店などで感染が目立った第2波を受け導入。濃厚接触者の特定が難しい場合の活用を見込んだが「そうした事例があまりなかった」(仲山信之(なかやまのぶゆき)県保健福祉部長)。店側が客の連絡先を知っているケースも多かったという。

 今年に入ると感染者が急増し、保健所が濃厚接触者の調査対象を縮小。感染者が出た店などを特定しなくなったため、通知の運用が事実上困難になった。本年度予算には事業費約400万円を計上していた。

 福田知事は会見で「感染防止の意識付けに一定の効果はあった。たまたま陽性者が確認できなかったということで、システムの出来が悪かったわけではないという認識だ」と話した。

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