新調の獅子2頭が共演 3年ぶり 上五島神楽大祭

クライマックスの獅子舞=新上五島町

 国重要無形民俗文化財、上五島神楽の大祭が24日、新上五島町青方郷の青方神社(前田哲嘉宮司)であり全30番が奉納された。新調された2頭の獅子が、この日限定で共演し、約150人を楽しませた。
 上五島神楽は、豊作や豊漁を祈願し400年以上の歴史を誇る。上五島神楽保存会(吉村政徳会長)は2019年、悪魔払いの意味があり人気の獅子2頭を、町の助成を受け新調した。ところが、コロナ禍で上五島神楽大祭の中止が続き、3年ぶりに開催したこの日が初のお披露目となった。
 大祭では、保存会がアクロバティックな動きの神相撲(かんずもう)や、天の岩戸神話を再現した舞を披露した。最後に登場した獅子は、通常は1頭だけだが、この日は赤い顔と金色の顔の2頭が登場。息の合った舞いで観客らを喜ばせた。吉村会長は「神楽の技術や文化を絶やさず伝承することが一番の目的。今年は無事に奉納できてよかった」とほっとした様子。
 約5時間の舞神楽全てを観覧した青方郷の会社員、古場裕司さん(51)は「3月に東京から移住したばかり。楽しかった。歴史的に見ればこちらの方が東京よりも中央に近かったんだろう。昔の言葉や動きが残っていて、タイムカプセルのようだと思った」と話した。

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