メッセージ

 ここ2カ月はロシアのウクライナ侵攻に関する切実な内容が目立つ。国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市)に、来館者がメッセージを書き残すコーナーがあり、中でも10、20代の若者たちの言葉は明快だ▲「プーチン まじおちつけ」「ロシア(プーチン)核兵器だけは使うな」。SNS世代だからだろうか、短文だが、今世界で起きている現実への不安や焦り、怖さのようなものが伝わってくる▲長崎平和推進協会は継承部会員によるメッセージの公開をSNSで始めた。タイトルは「いま世界に届けたい被爆者の言葉」▲「私たち被爆者は何をしてきたんだろう」。羽田麗子さんは「核の威嚇」のニュースに触れたとき、こう思った。「『相手が爆弾なら、こっちも爆弾を』ではなく、子どもの命を大切に考え、話し合いで解決を。それが一番の願い」▲山川剛さんは、テレビに映る戦場の様子が防空壕(ごう)で震えていた少年期の記憶と重なった。核使用への言及が戦いの構図を「人類の存続対プーチン」に変えたと指摘し、反戦反核世論の結集を訴えている▲侵略による死者数は日々膨らみ、実態把握すら困難な状況。平和的解決に向け、唯一の戦争被爆国、そして被爆地が担うべき役割は何だろう。粘り強くメッセージを発信しつつ、具体策を探りたい。(真)

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