「長崎で学んだ責任がある」 長大卒の廣岡さん、“証言者”として初講話

初めての講話に臨む廣岡さん=長崎市、長崎原爆資料館

 被爆者に代わり被爆体験を語り継ぐ「家族・交流証言者」の定期講話で、北九州市の廣岡胡美さん(26)が長崎市の門隆(かどたかし)さん(86)の体験を引き継ぎ、24日、平野町の長崎原爆資料館で初めて講話した。
 廣岡さんは長崎大卒。在学中に家族・交流証言者事業を知ったが、留学などで「証言者」になるのを断念した。卒業後、地元福岡で就職したものの、平和のことを考える機会がないことを痛感。「長崎で学んだ身として、今被爆者の方から話を聞き、次世代に伝える責任がある」と思い、事業に参加した。
 門さんは磨屋(とぎや)国民学校4年だった9歳の時、爆心地から約3.5キロ離れた銅座町の自宅で被爆。父と兄が犠牲になったが、戦時中という特殊な状況のため、終戦後まで悲しみを実感できなかったという。
 廣岡さんは講話で「戦争の悲惨さと平和の大切さを風化させてはならない」という門さんの思いに触れ、「出来事の裏にある一人一人のストーリーを想像し、次の世界をつくる私たち自身の問題として考えることが、より良い時代につながる」と訴えた。今後、県外での活動や英語での証言にも意欲を見せている。
 市主催。業務委託を受けた公益財団法人長崎平和推進協会が、県内外への証言者の派遣や定期講話を実施している。定期講話は第2木曜日と第4日曜日の月2回開催。


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