◆桐光学園11―0横浜商(8回コールド)
絶対的エースだけとは言わせない。そう言わんばかりに桐光学園の背番号10、中平が躍動した。
1点リードで迎えた初回2死一、三塁。「立ち上がりはあまり良くないが、同点には絶対したくない」と空振り三振で切り抜けると波に乗った。
「カーブ、フォークがあまり良くなかった」と配球は直球中心。それでも要所でセットポジションの間を長くするなど、冷静な投球術を見せた2年生右腕。7安打完封に「真っすぐで押していけた。自分のピッチングができた」と笑った。
秋は大黒柱の針谷がほぼ一人で投げ抜いて4強入り。中平は下半身の力を球に伝えようと、冬場にノーステップで120球の投げ込みを続けた。「体重移動を意識したら球質が変わった」。ストレートの最速は10キロアップの138キロになった。
迎えた春。「冬から春先まで一番良かった」(野呂雅之監督)と、念願だったエースナンバーを背負うも、準々決勝の横浜戦から再び針谷のもとに戻った。
「今まで針谷さんに頼りっぱなしだった」という中平は大一番での好投で、心境に変化が芽生えたようだ。「夏に向けて1番を取り返せるように頑張る。決勝も連投したい」。12年ぶりとなる神奈川の頂へ、桐光には頼もしい二枚看板がいる。