王者ヴェルカ・ホーム凱旋 長崎に新たなエンタメ ファンと一緒に確かな一歩

光と音の演出の中で行われたオープニングセレモニー=県立総合体育館

 23日に岩手でリーグ優勝とB2昇格を決めて、ホームに凱旋(がいせん)した長崎ヴェルカ。参入1年目のクラブは昨秋の開幕以降、長崎に生まれた新たなエンターテインメントとして来場者を沸かせてきた。今季のスローガン「0TO1(ゼロ・トゥ・ワン)」の文字通りに、何もない状態から、ファンと一緒に確かな一歩を踏み出した。
 2020年10月のクラブ設立から、岩下英樹社長や伊藤拓摩監督はこう強調してきた「みなさんとつくり上げたい」。オンラインも活用しながら県民と交流を重ね、ファンクラブ入会数は開幕前に3千人を超えた。コロナ禍で制限がある中、ホーム戦の観客数はB3トップの平均千人超。岩下社長は「背中を押された」と感謝しきりだった。
 その会場は試合前から派手な光と音が交錯し、非日常の雰囲気に包まれていた。目まぐるしく入れ替わる攻守に合わせてBGMも変化。MCの「ディーフェンス!」の声に乗って手拍子がこだまする。40分間、スピーディーな展開から目を離せなかった。
 タイムアウトやハーフタイム中はチアリーダー「ヴェルチア」が力強く、爽やかなダンスで盛り上げ、ビンゴ大会や来場者のシュートチャレンジなど多彩なイベントが続いた。「長崎スタジアムシティ」の2024年開業も視野に、クラブの「わくわくを届ける」という本気度が伝わってきた。
 この日はホーム最多となる2542人の観客が詰めかけた。諫早市の会社員、濱口勝弘さんは「大好きなジェフ・ギブス選手を含め、B1出身の選手がたくさん。見に行くのが毎回楽しみ。B2でも優勝してほしい」と満足した様子。ガード髙比良と同学年で、高校時代に練習試合で顔を合わせていたという長崎市の会社員、一瀬康一さんは「当時から止めにくい選手だった。B1で活躍する選手になってほしい」とエールを送った。
 「最短でB1昇格」に向けての第1目標をクリアしたクラブ。サッカーJ2のV・ファーレン長崎の社長も兼ねる岩下社長は、プロバスケットボールの文化も長崎の地に「根付く」と言い切り、次のステージへの覚悟をにじませた。「観客数で選手たちのテンションも全然違う。コアなファンの方々の外側を固めて“急がないとチケットが取れない”と言われていくような仕掛けを続けたい」


© 株式会社長崎新聞社