三菱重工 航空部品工場 建屋新設、2倍に拡張へ コロナ後需要増見据え

三菱重工航空エンジン長崎工場の製造ライン。製品運搬や工具配給などが自動化されている=長崎市飽の浦町

 三菱重工業は4月22日、長崎市飽の浦町の長崎造船所内に建設した航空機エンジン部品工場の内部を報道陣に公開した。今後の需要増を見据え、2024年3月までに工場を約2倍に拡張する計画を明らかにした。
 工場は、子会社の三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市、牛田正紀社長)の長崎工場として、船舶用プロペラ工場跡約5400平方メートルに建設。欧州の航空機大手エアバスの小型機「A320neo」に搭載するエンジン「PW1100G-JM」の燃焼器とそのケースの製造ラインを小牧本社工場から移した。今年3月からフル生産体制に入り、燃焼器は月70~80台、ケースは月24台製造する。従業員は現在110人程度。
 公開した工場内では、部品の素材受け入れから、加工、組み立てまで一貫した製造ラインを構築。製品の運搬や工具の配給などを自動化している。今後、24時間稼働に移行する。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)技術を活用してデータを集め、生産性向上につなげる。
 三菱によると、国内線向けの短・中距離旅客機の需要は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から比較的早く回復。A320neoの飛行時間はすでにコロナ禍前を上回り、燃焼器の需要は今後10年間で2.5倍に増加する見通しという。
 こうした需要増に対応するため、工場の隣接地に建屋を新設し、約2倍の1万1千平方メートルに拡張する。現在は海外に委託する一部工程も取り込む。燃焼器月120台、ケース月48台まで増産し、人員も50人程度増やす計画。
 工場拡張を受け大石賢吾知事は同日、「県内中小企業の航空機分野参入への弾みとなることを期待する」とのコメントを出した。牛田社長は取材に「設備関係の保守、メンテナンスなどはすでに県内企業に支援いただいている。規模が倍になることで、さらにお願いすることになるだろう」と述べた。


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