「世界に挑む」トライアスロン日本代表・白石怜佳 楽しんで、次につなげる

昨年10月の日本学生選手権で4位ゴールする白石=群馬県板倉町(立命スポーツ編集局提供)

 水泳1.5キロ、自転車40キロ、長距離走10キロ-。3種目を連続でこなして順位を競うトライアスロン。白石怜佳は競技歴3年目にしてU-23世界選手権(6月・ルーマニア)と世界ユニバーシティー大会(9月・ブラジル)の挑戦権を手にした。
 長崎市出身。3姉妹の末っ子で、姉たちの影響を受け、水泳を3歳から、陸上を日見小1年から始めた。東長崎中、長崎南高時代は水泳部に所属。背泳ぎで県トップレベルの成績を残していたが「楽しくて競技を絞れなかった」。陸上部の朝練や駅伝の練習なども並行して続けた。そして中学3年時、社会人の自転車チームに入ってから、3競技すべてをできるトライアスロンを意識するようになった。
 初めてレースに出たのは高校3年の夏。気合十分で臨んだが、途中で自転車のチェーンが外れてしまった。自分で直すことができず、近くにいた審判に手伝ってもらって再スタートできたが「完走した達成感よりも、覚悟や準備が足りなかった。情けなさが上回った」。このレースをきっかけに「大学で本格的に打ち込みたい」と思うようになった。
 立命大進学後、すぐにトライアスロン部に入部。一つ一つの練習の意味を考えながら、厳しく自らを磨いた。全国都道府県対抗女子駅伝などで活躍してきた姉、由佳子(ユニバーサルエンターテインメント)の存在も刺激になった。迎えた昨年5月のワールドシリーズ横浜大会。2位に入り、大舞台で結果を残すまでに成長した。
 だが、ここでもまだ、充実感はなかった。「自転車のレース運びがよくなかった」。以降、速い男子選手に食らいつき、速く長くこぎ続ける練習を重ねた。その努力がまた、成長を促した。昨年10月の日本学生選手権で4位に入ってユニバの日本代表に選出されると、約2カ月後のデュアスロン選手権で学生1位となりU-23世界選手権日本代表に内定。次々と世界への切符をつかんだ。
 初めて挑む海外のレースは、レベルの高さを思い知らされるかもしれない。「でも、レースは最後まで何が起こるか分からない。楽しんで、次につながる意味のある大会にしたい。最終的には、世界トップの選手たちと互角に戦えるように」。発展途上の20歳が世界での一歩を踏み出す。

© 株式会社長崎新聞社