真っ二つ 殺生石だけではなかった

宇都宮駅西口に鎮座するギョーザ像

 ギョーザの皮をまとったビーナス。JR宇都宮駅西口のペデストリアンデッキ上にある「ギョーザ像」は、こんなコンセプトで作られた。一見奇怪だが、よく見ると愛嬌(あいきょう)がある。

 制作されたのは1994年。「ギョーザでまちおこししよう」と、民放テレビ番組の企画が発端で、宇都宮観光コンベンション協会が制作した。宇都宮が「ギョーザのまち」として全国に認知される前のことだ。

 当初は駅東口にひっそりと置かれていたが、2008年には駅西口のペデストリアンデッキ下へ転居。「もっと目立つ場所に」と、14年に今の場所へ移った。写真を撮ると背景に「宇都宮駅」の看板が映り込む「一等地」だ。

 実はこの像、移転の度に災難に見舞われている。1度目は吊り上げ作業中に落下し真っ二つに割れた。2度目は前後の向きを間違えて置かれてしまった。

 宇都宮餃子(ぎょーざ)の隆盛とともに歩んだ。関係者の愛着は深い。真っ二つに割れたときでさえ修復され、作り直されることはなかった。いまや宇都宮で1番有名な像かもしれない。2度の移転作業に立ち会った同協会嘱託職員の斉藤幸(さいとうみゆき)さん(62)は「出世したなと、声をかけてやりたい」と笑顔で話していた。

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