<金口木舌>沖縄の目的地は

 ユーラシア大陸に分布するハイイロガン。1月に大宜味村田港の大保ダムに渡来しているのを、野鳥愛好家の山原昼夜さんが撮影に成功した

▼今日から愛鳥週間。ハイイロガンの他、沖縄には約280種類の渡り鳥が確認されている。生きるために大陸から数千キロも渡ってくる

▼体内に方位磁針があるため方角を把握し、目的地まで飛来するという渡り鳥。本来備わっているはずだが人は「方向音痴」になりがちだ。人間の羅針盤になるのは、私たち祖先が何を経験し、これからどこに向かうべきかという「歴史観」かもしれない

▼沖縄歴史教育研究会の公立高校2年生を対象に実施したアンケートによると日本復帰の日「1972年5月15日」の正答率は22%だった。研究会顧問の新城俊昭さんは、地元の歴史や文化を体系的に学ぶことの重要性を指摘する

▼先史、古琉球、近世、近代、戦後。歴史をひもとくと「日本復帰」の言葉が正しいのか疑問も湧いてくる。復帰100年後はどんな沖縄になっているのか。目的地を描くのは私たち沖縄県民だ。

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