宇佐市の浄土真宗 東本願寺 四日市別院。江戸時代には九州の716 の寺院を統括した歴史あるお寺です。こどもの日の5月5 日、ふだんは静かな境内に にぎやかな声が響いていました。「お寺いち」。宇佐市内5つの子ども食堂が合同で企画したイベントです。高校生やガールスカウトも手伝いに加わり、来場者をもてなします。
大西昌子さんインタビュー:
「皆さんの力が集結してこんな素敵なイベントになりました」
「お寺いち」を翌日に控えたこの日、 四日市別院の境内には、準備を進める人たちの姿がありました。
中心になって準備を進めているのは、 企画を立案したひとり、四日市の子ども食堂を支える大西昌子さん。 そして、市内で別の子ども食堂の代表を務める、古藤裕理笑さんです。 社会福祉協議会の紹介がきっかけで、 子ども食堂同士が連絡を取り合うようになりました。 そして今回、四日市別院を会場に、合同で「お寺いち」を開くことになりました。
大西昌子さんインタビュー:
「困っている人たちもたくさんいるが、声を上げられない人たちも潜在的にいっぱいいるので、 受け皿として子ども食堂が連携していくことが (課題解決に)早いんじゃないか」
古藤裕理笑さんインタビュー:
「一人親世帯が多いなというのは私もやり始めて感じていて食費を削るという方が多くて、(宇佐市内に子ども食堂が)5 こもあるんだとは多分知られてなくて、これをきっかけに知ってもらっていろいろ利用してもらえたらいいなと思う」
山香遼さんインタビュー:
「古くからお寺は身分に関係なく人が集まっていた場所なので 今は、地域の人たちからすると敷居が高いとか、入っていいのかということがあるので、こういったイベントを機に誰でも出入りして気軽にそれこそイベントとかでも使ってもらって。お寺は本来、困った人が、駆け込み寺じゃないですが、(子ども食堂が)すごく似ている面があると思うので、そこでつながっていけるものがあれば お互いにメリットがあると思う」
今回、取り組みに賛同するJAおおいたの味一ねぎ生産部会から、寄付の申し出がありました。味一ねぎは、宇佐市内で年間500トンが出荷される名産品です。イベントでは、ふるさとの味「ネギ焼き」として、子どもたちに無料でふるまわれます。用意された味一ねぎは15キロ。およそ300食分です。
ネギを切るボランティアの女性インタビュー:
「おいしく皆さんが食べて大きくなるように。せっかくのこどもの日なので、楽しくおいしく食べてほしい」
大西昌子さんインタビュー:
「それぞれがブースを出すのではなく、一回共同でやって、皆さんに無料でネギ焼きを提供すると そこが連携していけるきっかけになる、なので今回はブースを分けずに、協同というのも大きなキーワード」
そして迎えたこどもの日。イベント開始と同時に、多くの親子連れがやってきました。
古藤裕理笑さんインタビュー:
「子連れの方が多かったのでお子さんから大人のお母さんたちまで 楽しんでもらえてよかった」
5つの子ども食堂のスタッフが一緒になって、ネギ焼き作りに取り組みます。宇佐市社会福祉協議会から、小麦粉が提供されました。市内の養鶏場からは卵が。ガスボンベは宇佐市の販売店から無償で用意されました。様々な協力なしにはイベントは実現できませんでした。
子どもインタビュー:
「ネギがおいしい!」
古藤裕理笑さんインタビュー:
「(イベントにあわせて)こども食堂の案内のチラシを作ったんですけど、それもきょう配布させてもらって 初めて知ったという人も結構いたんで、それをきっかけにまた来てもらえたらなと思う」
チラシには、5つの子ども食堂の情報を、詳しく記しました。
来場客:
「イメージ変わりましたね、こういうの企画されているのでぜひ行ってみたいなと思いました」
今回、「お寺いち」を開催した狙い。それは、子ども食堂を知ってほしいという気持ちだけではありませんでした。
大西昌子さんインタビュー:
「きっかけはこども食堂の啓発だったのですが、これでつながっておくことで、なにか有事があった時に お寺で炊き出ししますよというときに、このメンバーが集まれるんじゃないかな。ある意味防災訓練のようなイベントにもなりうる。宇佐の良さってコンパクトで皆が何かあったら支え合える、 つながりあえる土地柄かな。」