「強いヤツとやらせてください」 広島から王者へ 格闘家夫婦の夢 激闘に密着

2人そろって格闘家という夫婦がいます。2人の目標は、チャンピオンベルトを掲げること。その夢をかなえるための激闘に密着しました。

リングアナウンサー
「神田 T800 周一!」

RCC

神田周一さんは、「総合格闘技」のプロ選手。4年前まで関東で活躍していました。広島に残り、テレビの前で長女いとちゃんと一緒に応援する妻の麻梨乃さんも柔術などに取り組む格闘家です。この試合は、周一さんにとって夢をかなえるための闘いでした。

RCC

去年7月、神田さん家族は、広島市の安芸区から練習場所のジムに近い安佐南区に引っ越しました。全て総合格闘技のためです。

RCC

家族の協力もあり、周一さんは、引っ越してから3連勝中です。

RCC

周一さん
「片足と片足の攻防なんだけど…」

RCC

妻 麻梨乃さん
「お尻の位置をずらして、バックを取りに行くべきだったんじゃないかなと思うけど、お尻がちょっと深い」

麻梨乃さんは、レスリングをやっていた経験から周一さんにアドバイスします。

妻 麻梨乃さん
「わたしが気づいたこととか、なんとなくわかることは全部伝えたら、少しでも力になれるかなというふうに思っています」

周一さん
「麻梨乃に、特にレスリングの部分で助けてもらっている感じです」

家族に支えられながら総合格闘技を続けている周一さん。トラックに乗って配送の仕事をしています。

RCC

周一さん
「『神田 T800 周一の手数より口数』、きょうも始まりました。よろしくお願いします」

RCC

周一さんは、荷物の積み下ろしの待ち時間や休憩時間を利用して、ネットラジオを収録して配信しています。総合格闘技を通じて感じたこと、学んだことを伝え、理解者を増やしたいからです。

RCC

周一さん
「格闘技も結果を出してない。お金もないみたいな状態で、理解してくれる女性が現れたわけですよね。それが妻なんですけどね…」

RCC

この日の内容は、周一さんが総合格闘技を続けるかどうか悩んでいたときに麻梨乃さんと出会った話でした。当時、レスリングをやめた麻梨乃さんですが、自分のたくましい体にコンプレックスを持ち、思い悩んでいました。

妻 麻梨乃さん
「初めて他人に自分を認めてもらえたんですよね。そのままのお前でいいんだって。だから、この人とずっと一緒にいたいなと思ったって感じですね」

RCC

周一さん
「(麻梨乃さんは)一本気ですよね。不器用でちょっと生きづらそうにしていますけど、逆にぼくはそれが信頼できますね」

2人は、知り合って、1年2か月後に結婚しました。

RCC

妻 麻梨乃さん
「上取れ! 上! 上! 上取れ!」

リングサイドで麻梨乃さんは、周一さんとともに闘っています。そんな2人の夢はチャンピオンになることです。

RCC

周一さんは、2年前、初のタイトルマッチ・バンタム級のチャンピオン決定戦に挑みました。

妻 麻梨乃さん「強いの! 強いの、まとめろ! まとめろ! チャンス、チャンス…」

RCC

王者の座をかけた闘い…。しかし、悲願のチャンピオンベルトを巻くことはできませんでした。

周一さん
「あの光景を見たら、やっぱりならないと、チャンピオンに。がんばります」

RCC

周一さんは、総合格闘技団体「グラジエーター」で試合が組まれました。2年前と同じバンタム級のチャンピオン決定戦です。最近の戦績を認められ、チャンスが回ってきました。

RCC

周一さん
「2年前の悔しい思いも今につながってくるストーリーの1つだったととらえて。やっぱりここが本番だと思って、必ず雪辱を晴らしてベルトを巻きたいなと思っています」

RCC

総合格闘技26戦目になる周一さん。毎回、試合は「人生の集大成」という覚悟で闘っています。

周一さん
「試合のきつさを知らないと格闘技の深みの半分も知れないじゃないですかね。試合でこそ得られるものがあると思います」

現地で応援したい麻梨乃さんでしたが、出産を控えているため、いとちゃんと留守番です。決戦の地・大阪に出発する周一さんを見送りました。

RCC

王者の座をかけた試合当日です。

RCC

麻梨乃さんは、画面の向こうにいる周一さんの勝利を願います。

RCC

妻 麻梨乃さん
「ととよ、いとちゃん。白いパンツね」

RCC

対戦相手は、勢いにのる福島選手です。試合開始から3分経過。両者、打撃の打ち合いです。周一さんは、体勢を入れ替えて、肩パンチ。1ラウンド目から激しい闘いとなりました。周一さんは、バッティングで額から出血しています。苦しい展開です。

RCC

妻 麻梨乃さん
「苦しい」

周一さんは、パンチを当ててから何度もタックルを繰り出し、ケージに押し込みます。

RCC

妻 麻梨乃さん
「ナイスタックル!」

福島選手からテイクダウンを奪い、グラウンドに持ち込みたいところです。しかし、2ラウンド終了間際、逆にテイクダウンを奪われました。

RCC

妻 麻梨乃さん
「お尻下げろ! お尻下げろ!」

麻梨乃さんの闘志にも火がつきます。

RCC

妻 麻梨乃さん
「今までで一番しんどそうに見えますね。後は気持ちだな。ここからはがんばって、頼むよ! 周一」

リングアナウンサー
「ラウンド3。ファイナル」

RCC

両者、一歩も引き下がりません。ふらつきながらも両者のチャンピオンへの執念がぶつかり合います。勝負は判定へ…。

RCC

1人目は、周一さんにポイントを付けました。2人目は福島選手に。これで1対1。3人目の採点は…

RCC

リングアナウンサー
「29対28、赤・神田。勝者、赤コーナー 神田T800周一!」

RCC

妻 麻梨乃さん
「よかった。厳しい試合でしたね。苦しかった。よかった」

RCC

接戦を制した周一さんが、念願の第6代グラジエーター・バンタム級王座に初戴冠しました。

RCC

周一さん
「ぼくは、格闘家としてベルトを守るだけじゃなくて、もっともっと自分の価値を高めたいと思うし、自分の価値を高めることがグラジエーターの価値を高めることだと思うので、さらなる挑戦をしていきたいと思います。グラジエーターの中でも、外でも、強いヤツとやらせてください。きょうはありがとうございました」

妻 麻梨乃さん
「おかえり」

周一さんは、大阪の会場からチャンピオンベルトを巻いたまま帰ってきました。

RCC

周一さん
「めっちゃ重いよ」

妻 麻梨乃さん
「本当だ。すごい。(チャンピオンベルトを)初めて持った。おめでとうございます」

神田周一さん
「ありがとうございます」

激闘の末、手に入れたチャンピオンベルトですが、今回の闘いに満足していません。

妻 麻梨乃さん
「まだまだ」

RCC

周一さん
「やること、いっぱいありますね。始まったばかりだね」

妻 麻梨乃さん
「それがよかったなと思ったけど、逆に。まだまだ強くなるチャンピオンみたいな感じで、道の途中って感じで」

周一さん
「おれもそう思う」

妻 麻梨乃さん
「まだまだ、やめられないね」

神田周一さん
「これじゃあね…」

RCC

強さを追い求める周一さん、家族とともにさらなる高みを目指します。

© 株式会社中国放送