原料などの価格上昇による「値上げの波」について連日、お伝えしていますが、広島を代表する味も直撃です。もみじまんじゅうやお好みソースのメーカーの中にも苦渋の選択を迫られたケースがあるようです。
宮島(広島・廿日市市)に本社を置く菓子製造メーカーのやまだ屋です。ことし、創業90周年を迎えました。
やまだ屋 中村靖富満社長
「原材料をはじめとして副資材・燃料、あるいは電気・ガス、いろんなものが値上がりをする中で弊社もたいへん厳しい状況になっています」
もみじまんじゅうは、3つの主原料『小麦・砂糖・卵』が、大きな影響を受けています。
まずは『小麦』。天候不順による不作やウクライナ情勢の影響で、輸入小麦の政府売渡価格は、この半年で17.3%引き上げられました。
中村靖富満社長
「日本には、アメリカ・カナダ・オーストラリアの小麦粉が入ってくるが、世界全体の需給のバランスが崩れて、たいへん値上がりをしている」
そして、『砂糖』と『卵』にも影響が―。
中村靖富満社長
「砂糖・卵も餌飼料が輸入に頼っているので、今、円安でたいへん値段が高くなっている」
主原料の値上げに対応して、もみじまんじゅうを小さくするといったことはできないのでしょうか…。
やまだ屋 中村靖富満社長
「型に入れて焼くので、サイズ変更はたいへん難しいお菓子です。数量を減らすといっても箱の形態を変えると、また、たいへんコストもかかる」
事業者レベルでは解決できない問題が多い中、値上げは避けられないようです。
やまだ屋 中村靖富満社長
「弊社も夏から秋にかけては価格改定をさせていただきたいというふうに今、準備をしております」
15%から20%の値上げを検討しているということです。
値上げの波は、広島のソウルフード「お好み焼き」に欠かせないソースにも…。
ことし、100周年を迎えるオタフクホールディングスです。製品の主原料の価格や物流費が上昇する中、今後もコスト上昇は継続していくとして、来月1日から値上げに踏み切ります。
お好みソース500gが、これまでの360円から30円値上げされ、税別390円になります。
そのほか、焼そばやたこ焼きソースなど家庭用60品・業務用232品がおよそ5%から9%の値上げとなります。
オタフクでは、すでにことしの3月と4月に天かすやミックス粉も家庭用で1%から9%の値上げをしていました。
オタフクホールディングスは、物流や仕入れ、包装費など、さらに生産性の向上やコスト削減に努めたいとしています。
コロナ禍に続いて、原材料高騰の波にもさらされる宮島ですが、厳しい状況だけではありません。ゴールデンウィークの来島者数は、去年のおよそ2倍。8万8000人増の16万人を超えました。3年ぶりに修学旅行生も戻ってきたということです。
やまだ屋も縮小していた宮島本店の売り場を通常に戻し、休止していた「手焼き体験」を再開。取材したこの日も愛媛から訪れていた観光客が体験を楽しんでいました。
やまだ屋 中村靖富満社長
「ゴールデンウィークが終わってもお客さまにお越しいただいておりますので、これからは少しずつよくなるばかりだというふうに思ってがんばりたい」