シングルマザーの所得向上へ データアナリスト講座 スキル養成で「貧困の連鎖断ち切る」

 子どもの貧困の連鎖を断ち切ろうと、県母子寡婦福祉連合会(与那嶺清子会長)とスーパーなどの購買データを収集・分析するマギー(豊見城市、山川朝賢社長)は、シングルマザーを対象としたデータアナリスト養成講座を開いている。受講者の習熟度次第だが、同社は修了後に年収400万円以上で雇用することも視野に入れる。子どもの貧困は親の低所得の問題という認識が進む中、全国平均の2倍以上という沖縄の子どもの貧困を改善する取り組みとして注目される。

 子どもの貧困の問題は2010年代から表面化してきた。今月決定した国の新たな沖縄振興基本方針も「子どもの貧困は親の貧困」と明記。貧困の世代間連鎖の防止を目指し、親の雇用支援などに取り組むとした。

 マギーのデータ分析子会社、アイディーズ(豊見城市)の金城久実子取締役は「全国で最も低い沖縄の労働生産性を向上させ、子どもの貧困問題の解消につなげ、最終的には貧困の連鎖を断ち切りたい」と、養成講座の狙いを語る。

 講座は昨年6月に開講し、現在1、2期生の約20人が月2回の講座に参加している。受講生は非正規職員で、仕事を掛け持ちもしながら講座を受けている。

 4月29日には、県内スーパーで「父の日」に購入された商品のデータを分析する講座が開かれた。焼き肉のたれの購入率は0.05%にすぎないが、輸入牛との同時購入率は6.2%に跳ね上がることなどを金城取締役が説明。「どの商品が売れるかを分析して提案するのが私たちの仕事だ」と、データアナリストの役割を紹介した。

 1期生の講座は近く修了するが、関連会社の社員として2人を雇用する予定だ。受講者の伊礼結乃香さん(31)=嘉手納町=は「ひとり親なので、決められた時間内で在宅勤務ができたらいいと思い受講した。今はギリギリの収入で子育てをしている。経験を積んで仕事の幅を広げたい」と話した。

 金城取締役は「データアナリストは全国的に不足しており、必要なスキルを身につければ収入が増えるチャンスがある」と話した。(梅田正覚)

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