睡眠中よだれ漏れる…何の病気が原因か 唾液の分泌量増加なら胃炎や自律神経の異常の可能性

【福井のドクター相談室】睡眠中よだれ漏れる…何の病気が原因か

 睡眠中、口に唾液がたまって口の外に漏れることがあります。何か病気の前触れではないかと心配です。何科に相談すればいいのでしょうか。(福井県内在住・85歳)

【お答えします】早瀬史子・福井赤十字病院神経内科副部長

嚥下機能低下の可能性も

 寝ている時に口が開いて涎(よだれ)がこぼれていた、ということは恐らくほとんどの人に経験があることで、必ずしもご病気とも言い難いですが、異常なほどに涎が多くご心配という場合について、病名としては流涎症(りゅうぜんしょう)と呼びます。

 そもそも、唾液は生理的に1日1~1.5リットル分泌され、無意識に飲み込んでいるため、通常は涎としてこぼれることはありません。しかし涎があふれてこぼれる場合は、(1)実際に分泌量が増加している場合(真性流涎症)と、(2)増えていないのに何らかの理由で増えたと感じてしまう場合(仮性流涎症)があります。

 (1)「真性流涎症」の原因は胃炎、口内炎、自律神経の異常、特定の薬剤の影響の場合もありますが、原因が特定できないケースも多いです。(2)「仮性流涎症」の原因は、加齢、パーキンソン病や多発性脳梗塞などの病気に伴う嚥下(えんげ)機能低下(飲み込む力の低下)の可能性も考えられます。

他にも症状あれば神経内科へ

 神経難病や多発性脳梗塞…というと心配になってしまいますが、寝ている時の涎だけでこのような病気の前触れというわけではありません。でも、もし起きている時も涎があふれて、食べ物が飲み込みにくかったり、むせることが頻繁にあったりする場合は、嚥下機能低下が心配です。さらに呂律(ろれつ)が回りにくい、体の動きが悪い、筋肉がやせて体重がずいぶん減った、などの症状もある場合は、まずは神経内科でご相談が良いと思います。

 その他、睡眠時、口を開けていて唾液を飲み込めず口腔内にたまる場合もあります。加齢によって噛(か)めない→軟らかい物を食べる→噛む機能の低下→口腔・心身機能の低下へと続く連鎖を「オーラルフレイル」と呼びます。元気に、そして自分らしく年齢を重ねて健康寿命を延ばすためには、よく噛んでよく話し、オーラルフレイルを予防することも重要です。

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 当院では摂食・嚥下障害認定看護師による看護外来も開設しており、言語聴覚療法士、耳鼻咽喉科外来とも連携して嚥下機能の評価と指導も可能ですので、ご心配な時にはどうぞご相談ください。

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