生徒との交流にわくわく ニューカレドニアの日本語教育アシスタントに 県出身の徳門さん

 フランスの教育制度の下、ニューカレドニアでは小学校5年生から第二外国語が学べる。語学教育は母語話者の発音や会話を重要視するためアシスタント制度がある。日本と地理的に近く、さまざまな交流があるニューカレドニアでは日本語を選択する生徒が多い。今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年間実施が見送られたこの制度が復活した。3月に入りオーストラリアやチリ、日本などさまざまな国から1年契約で若い語学アシスタントが来た。

 日本語アシスタント3人の中に那覇市出身の徳門璃子さん(24)がいる。今年の春に琉球大学法文学部国際言語文化学科を卒業したばかりだ。ヌメア市郊外の二つの高校に配属されている。学生時代には1年間のフランス・トゥルーズへの留学経験もある。トゥルーズ大学日本語専攻の学生との交流や、琉球大での日本語教育の勉強を経て日本語教師を目指している。以前、大学の先輩からニューカレドニアでの日本語の教育事情を聞いたことがあり、大学で2022年のアシスタント募集を知って応募した。

 ニューカレドニアに来る前に、知り合いが琉球新報の「ニューカレドニアのニュース欄」を切り抜きして渡してくれた。ニューカレドニアのことは知らないことが多く、県系人が多いことに驚いたという。ハワイやブラジルに大規模な県人会があることは知っていたが、太平洋のフランス語圏のニューカレドニアに県系人がこんなにいることを知り、ぜひ交流したいと願っている。

 璃子さんは県系人のために、沖縄の琉歌を詠んだ「琉球歌留多」をおみやげとして準備してきたという。韻律が「8.8・8.6」という沖縄独特のリズムがあり、沖縄の人の心情を歌うかるたの内容を、フランス語に訳して伝えたいそうだ。今後は「ニューカレドニア・ウチナーンチュの歴史や、沖縄の文化や言語をあらためて学んでいきたい」と抱負を語った。

 チバウ文化センターという先住民族カナックの文化を紹介する博物館に璃子さんが行った時、大きなガジュマルの木があった。カナックはこの木を神聖視していると知った。沖縄も同じで、キジムナーが宿る木とされており「何かを発見した気分だ」と話した。市場でブダイを見て「あれはイラブチャーだ」と感じ、生徒たちとの交流で新しい日本語を発見し、彼らのきらきらした目を見て、毎日わくわくしているという。そして、璃子さん自身の目も同じく、きらきらと輝いているようだった。

(山田由美子ニューカレドニア通信員)

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