モンスター・フォードvsレッドブル・ホールデン直接対決は、2勝のウォーターズに軍配/RSC第5戦

 5月21~22日に開催された2022年RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第5戦、恒例の『ウィントン・スーパースプリント』は、予選から火花を散らしたキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)と、レッドブル・アンポル・レーシングの王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)が直接対決を演じ、3ヒート中2勝を飾った6号車モンスターエナジー・マスタングに軍配の上がる結果となった。

 シリーズのアイコン的トラックにも位置付けられるビクトリア州はウィントン・モーターレースウェイに集結した一行は、プラクティスからタイヤ摩耗の早さに悩まされながらも、上位勢がコースレコード更新のペースを披露。土曜レース1に向けた予選では、今季も選手権首位を堅持するSVGが1分18秒264を記録し、意外なことに自身初のウィントン最前列を手にすると同時に、週末の対抗馬となりそうな宿敵ウォーターズを0.042秒差で退けた。

 さらに2列目3番手のチャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/ホールデン・コモドアZB)は0.144秒差、同じく4番手ウィル・ブラウン(エレバス・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)は0.145秒差と、上位8台がコンマ5秒差圏内にひしめく熾烈な勝負が繰り広げられた。

 現地土曜15時を過ぎて始まった最初のスプリントは、フロントロウに並んだウォーターズがスタートでポールシッターを出し抜くと、この2台が36周のレース全域にわたって超接近戦を展開。プレッシャーに耐え続けた首位マスタングに対し、ファイナルラップで仕掛けた背後のSVGが最終コーナーの攻防で接触。結果、レッドブル・ホールデンのホイールが破損し、勝利へのオーバーテイクは叶わぬまま2位チェッカー。まずはウォーターズが週末の先手を獲る結果となった。

「素晴らしいレースだったね。僕自身、彼からの最後の攻撃に備えなければならないと肝に銘じていた。その結果、彼の方に“クラック”が入ったのは分かっていた。心の底から安堵したし、この素晴らしい仕事を成し遂げたティックフォードのみんなには最大級の感謝を捧げたい」と勝者ウォーターズ。

Triple Eightにとっての敵地ウイントンで、自身初の予選ポールポジションを獲得した王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(Triple Eight Race Engineering/ホールデン・コモドアZB)
レース1はスタートで抜け出したキャメロン・ウォーターズ(Tickford Racing/フォード・マスタング)がまずは先勝
最後の勝負でホイールを破損したSVGは「正直、フィニッシュできてホッとした」と、貴重な2位表彰台を得た
明けた日曜レース2は、その王者SVGがアンダーカットを決め、前日の借りを返す勝利に

■アンダーカットによる逆転で前日の借りを返したSVG

 明けた日曜午前の予選シュートアウトでは、勢いに乗るウォーターズが続く2ヒートに向け連続ポールポジションを確保する。しかしレース2で反撃に打って出た2番グリッドのSVGは、早めの義務ピットでタイヤ交換を済ませると、熱入れを済ませてグリップ発動を得たセットでウォーターズを逆転。前日とは立場を入れ替え、今季9勝目を手にした。

 迎えた最終ヒートは、ふたたびポール発進を決めたウォーターズに援軍が現れ、昨季までフォードをドライブしたアンドレ・ハイムガートナー(ブラッド・ジョーンズ・レーシング/ホールデン・コモドアZB)が抜群の蹴り出しを披露。オープニングラップでSVGを捉え2番手に浮上する。

 行手を阻まれたチャンピオンはポジション挽回に14周を要し、その結果として、遅れた義務ピットを消化した時点でふたたびBJRの背後に戻る形となり、ハイムガートナーに対し2度目のオーバーテイクを強いられることに。

 首位ウォーターズを追う体勢を整えたときには、すでに大きくギャップが開いており、36周のチェッカーに向けモンスターエナジー・マスタングはペースをコントロール。フィニッシュラインを前に0.442秒差まで詰められたものの、ウォーターズが昨季タウンスヴィル以来となる週末“ダブルウイン”を達成した。

「本当にクールだね。僕らはここウィントンに来てからほとんどの時間を良い状態で過ごし、優勝、2位、優勝と2016年のチーム加入以来で最高の結果を得ることができた。昨季は土曜の勝利を日曜に再現することができなかった(タウンスヴィルでは11位)から、それができたのは今週末が初めてだ。間違いなくいい感じだね!」

 この結果、レースウイークを通じて終始、優勝戦線に絡み続けたSVGが選手権リードをさらに拡大し、この週末は「クルマに基本的なペースがなかった」と嘆いたランキング2位のシェルVパワー・マスタング、アントン・デ・パスカーレ(ディック・ジョンソン・レーシング/フォード・マスタング)に対し281点の差を構築。続く第6戦は、6月17~19日にヒドゥン・バレー・レースウェイにて『ダーウィン・トリプルクラウン』が争われる。

最終ヒートはふたたびポール発進を決めたウォーターズに援軍が現れ、アンドレ・ハイムガートナー(Brad Jones Racing/ホールデン・コモドアZB)が2番手に浮上する
3位表彰台のハイムガートナー「僕らに純粋なスピードがあることを証明できて、最高だ」
Tickfordの代表を務めるティム・エドワーズ(右)も「こんな最高の週末は頻繁に訪れるものではないが、一貫してこのレベルにいるのが目標だ」とチームを称えた

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