30年の社会奉仕活動に幕 佐世保コミュニティー協会 基地関係者ら交流

ボランティア団体「SCA(佐世保コミュニティー協会、約30人)」

 米海軍佐世保基地内のアメリカンスクールの教員や、長崎県佐世保市在住の日本人などでつくるボランティア団体「SCA(佐世保コミュニティー協会、約30人)」が来月1日で解散する。会長の後任が決まらず、新型コロナウイルス禍で活動が制限されていることなどが理由。発足から30年、活動の幅を広げながら社会奉仕に取り組んできた協会の歴史に幕が下ろされる。
 将校ら6人が1992年に同基地内関係者の支援に取り組んだのが始まり。基地内でバザーを開き、その収益で基地関係者の子どもらに奨学金授与をするなどした。その後、少しずつ活動内容や参加者の幅を広げ、名称も「SCA」に。

最後の食事会であいさつをする、会長のマーティンさん(左)=佐世保市内

 2000年ごろから同基地に関係がある日本人も加わるようになり、メンバーも約100人にまで増えた。県内児童養護施設の子どもらのアメリカンスクールへの招待、同市立図書館での英語絵本の読み聞かせ、日米の子どもらが交流するイベントの手伝いなど、基地外での教育文化の奉仕活動も活発になった。
 約20年前に加入した同市三浦町の語学教室運営、吉田美樹さんは「アメリカ人と交流しながら、社会貢献もできることが魅力だった。解散は残念でならない」と名残惜しそうに話す。

米海軍佐世保基地内の学校体育館で開かれたバザーの様子=佐世保市内(2012年、SCA提供)

 米海軍針尾住宅内の小学校「ダービースクール」の教員、ローズマリー・ガルシア・マーティンさんはSCAに18年に加入し、21年に会長に就任。一番記憶に残っているのは児童養護施設の子どもらとの交流。「子どもたちが喜んでくれたことは、教師としてもうれしかった」と笑顔を見せる。
 他県への転勤が決まったため、後任を探したが見つからなかった。新型コロナ禍で活動が思うように行えない状況も相まって、4月の役員会で解散が決まった。活動の一部は、国際交流支援を行う「佐世保サンディエゴ協会」が引き継ぐ。マーティンさんは「SCAは素晴らしい団体なので解散は悲しいが、サンディエゴ協会が今後さらに、活動の輪を広げてくれると思う」と前向きに語った。


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