保険は見直すのが「正解」? それとも見直さないのが「得」なのか?

「一度入った保険を見直す必要はない」「保険を見直さなくてもずっと同じでいい」「保険を見直すと損する」なんて、思っていませんか?

これは、間違いです(一部あっているところもありますが)。ずっと同じ保険に入っていると保障が足りなかったり、多すぎたりすることがあります。定期的に見直すことで、ムダのない保険に入ることができるのです。

今回は、保険の見直しが必要な理由、保険の見直しのタイミングとその注意点について考えていきます。


扶養家族がいなければ、保険は必要ない?

保険の見直しが必要な理由は、さまざまなライフステージで必要保障額が変化するからです。それぞれの変化にあった保障額に修正するために、定期的な保険の見直しをしなくてはいけません。では、具体的に見ていきましょう。

まず、学校を卒業して就職するまでは、親の扶養になっていることが多いと思います。入院するようなことがあったとしても、親のサポートを受けられれば生活に困るなど大きなリスクはないので保険は必要ありません。

就職をして社会人になっても、扶養家族がいないのであれば、すぐに保険が必要になるわけではありません。入院したときは心配になりますが、医療費の自己負担はそれほど多くはありません。なぜなら病気やケガで入院をしたとしても、「健康保険」や「高額療養費制度」があるからです。このタイミングでは医療保険の優先度は高くないので、とくに入る必要はないでしょう。

ライフステージで、保障内容・必要保障額が違ってくる

結婚をすると、生活費などが心配になりますね。もちろん、専業主婦と共働き夫婦では異なりますが、いずれにしても保障額は、それほど多くは必要ありません。

ところが、子どもができると必要保障額はグッと大きくなります。もしものことがあれば、残された家族はとても困ってしまいます。子どもの教育費や生活費を考えると、子ども1人当たり3,000万円ぐらいは備えておいた方がいいでしょう。ですから、ここで生命保険の加入も検討する必要があります。

住宅を購入したときには、住宅ローンを利用して団体信用保険に加入することになります。団体信用保険は死亡保険なので、死亡保障がダブることになります。そこで少し死亡保険の減額を考えてもいいでしょう。

自分が中年期になり、子どもが大学を卒業すると、大きな保障は必要なくなっていきます。ですので、死亡保障をグッと少なくしても大丈夫です。保障を下げることで、その分保険料が安くなり節約できます。今度は老後資金を貯める必要がありますから、保険料を貯蓄に回すことも大切です。

さらに年金を受け取り始めれば、そこからのリスクは老後資金と介護です。老後資金は貯蓄で備えるのがいちばんです。もし介護が必要になった場合、平均的な費用は800万円ぐらい必要になるかも知れません。これは余裕資金で対応したいのですが、介護保険を使って備える方法もあります。

ライフステージが変わると保険の見直しをする

このように人生のなかで、ライフステージがどんどん変わっていきます。そのたびに必要保障額も変わっていくのです。

もし、ずっと同じ保険に入っていた場合、必要保障額以上の保障に入っている時期は、保険料がムダになってしまいます。逆に入っている保障が少ない時期は、リスク管理ができていないことになります。

では、保険の見直しの最適な時期はいつかというと、ズバリ!ライフステージが変わるときです。保険は、頻繁に見直す必要はありませんが、人生の中で、最低3〜4回は見直した方がいいと考えます。えてして、ライフステージが変わるときは、慌ただしくて見直しをする暇が無いものです。ですから、思い立ったときでもいいのです。じっくり考える時間があるときが、見直しの時期ということでいいでしょう。

損しない見直しの注意点

ただ、「見直しをしたら損になった」ということは、残念ながらあります。間違った見直しになってしまったからです。どういうケースかというと、保険の営業員に言われるまま、人に勧められたまま、内容をよく理解しないで見直してしまうと「損」につながることがあります。

不要な保険を勧められて、ムダな保険料を支払うことになることもあります。また、いままで予定利率がよかった保険商品なのに、新しい保険に乗り換えたために、低い予定利率が適用になってしまい、大きな損につながることもあります。

さらに、同じ保険会社で新しい保険に契約する場合に、今まで積み立ててきた解約返戻金を新しい保険の定期部分に充当する方法があります。これを「定特転換」といいます。この方法は、毎月の保険料は安くなるものの、積み立てていたお金が掛け捨てになってしまうので、得な方法ではありません。

要するに営業員に言われるままに契約をするのではなくて、自分の判断でしっかり選ぶことが大切です。そのためには、ある程度の知識が必要になります。手前味噌ですが、筆者の過去の保険についての記事などを参考にしていただければと思います。「たった一つ法則がわかれば必要な保険がわかる!など」

正しく保険を見直せば、得をする可能性がありますので、定期的に検討するようにしてみてください。

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