賃貸の火災保険、安くできるかも。上手な保険の見直し術

新年度が始まった4月。コロナ禍ではありますが、引っ越しを伴う異動や、今まで住み慣れたエリアを離れて新生活が始まった方も多いのではないでしょうか。その中でも、なくてはならない住まい。住むところがなければ生活はできないですよね。賃貸であろうと、購入であろうと必要となってくるのが「火災保険」です。

「賃貸契約には火災保険の加入が必要です」と言われ、必要なものだし、難しくてよくわからないし……といった理由から、不動産業者が勧めてくる保険にそのまま加入していませんか?

これは賃貸に限らず、購入する場合であっても同様のことが起こりえます。中身を見直すことでかなりコストを下げることができた、なんてこともあるかもしれません。

今回は賃貸のためのチェックポイントをお伝えしていきます。


火災保険は入らないといけないけれど…

賃貸契約をする際に火災保険に加入することが賃貸契約書(もしくは賃貸契約前書面等)に必ず盛り込まれています。つまり、そのお部屋を借りるにあたって必要な条件の一つということです。契約の手続きの流れで不動産業者からおすすめや、提携の火災保険を紹介されてそのまま加入した方も多いのではと思います。

物件の広さなどにもよりますが、大体2年契約で2~3万円という場合が多いのですが、この保険を見直しすると保険料が下がる場合が大半です。というのも必要以上の保障額であったり、不要な特約が付いている場合が多いからです。

ではなぜそんな内容になっているかというと、仲介業者(不動産会社)が保険会社から25~40%のマージン(手数料)をもらっているため、割高な内容をすすめてくるのです。

もちろんすべての不動産業者がそんなことをしているわけではないと思いますが、一度ご自身の加入している火災保険の中身を確認してみてもよいでしょう。

必要な保障とは?どれくらいの保障額を設定すればいいの?チェックポイントで確認

基本的な考え方として、建物に対する保証は不要です。「家財」だけを付けましょう。建物自体は大家さんが保険に入っています。大家さんの持ち物ですから当然ですね。

「でももし火事になって隣の部屋にも損害を与えてしまったら……」といった質問も必ずされるのですが【失火責任法】という法律によって、仮に損害を与えてしまったとしても自分自身に重大な過失がなければ賠償責任はない、という決まりになっています。

つまり、自分が借りている部屋だけ何とかすればよい、ということです。逆に、隣の部屋で火災があったとしても、自分の部屋は自分で修復しなければいけないということでもあります。火災保険に入るのは「自分を守るため」と言い換えることもできますね。

火災保険で必要な保障は3つです。

下記のチェックポイントとご自身の保険の中身を見比べて、これ以上に特約が付いていたり、保障額が大きかったりする場合は見直すことで保険料が下がる可能性があります。

そもそも火災保険、変更してもいいの?

部屋を借りる条件の一つとして加入が必須とされている火災保険ですが、そもそも変更しても良いものなのでしょうか。

それを確認するには賃貸契約書(もしくは賃貸契約前書面 等)を見る必要があります。こういった時に必要になってきますので、契約書関係の書類は必ず保管しておきましょう。

賃貸するにあたっての必要事項として火災保険の加入が記載されているわけですが、そこに「指定の火災保険に加入すること」という記載がなければ変更しても問題はありません。この【指定の】という文言があるかどうかがポイントとなります。

第5条(保険の加入)
借主または入居者は、本契約期間中『借家人賠償責任保険』(火災保険の借家人賠償責任担保特約を含む)に加入しなければならず、その契約内容を書面により貸主に通知する。

※不動産会社などによって書式や記載方法は異なります

では【指定の】の記載があった場合には変更は諦めるしかないのかというと、そんなこともありません。

貸主からすれば、何かあった場合にしっかりと補償(原状回復)してくれればよいはずなので、まずは管理会社を通じて交渉してみましょう。もし管理会社に連絡をして「それはできません」という対応だった場合は独占禁止法に抵触するのでその旨伝えてみてください。

では、はれて変更が可能になった場合の変更手順も記載しておきます。注意点もありますのでこれだけは気を付けておきましょう。

【手順】
(1)新たな火災保険を契約する

(2)届いた新しい保険証券を管理会社に連絡する

(3)加入していた元の保険を解約する
※未経過期間がある場合は月割りで保険料が戻ってきます

<注意点>
元の保険の解約は新しい保険の加入が確認できてから
→空白期間に火事などが起きてしまった場合、全額自己負担での補償になってしまうため


楽しみな新生活。自分がしたいことにしっかりとお金が使えるよう、「もったいない」や「損」を減らせる知識を持っておくことも必要ですね。

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