小説家の恩田陸さん、長崎巡り構想 短編小説執筆へ「食べ物からアプローチ」 長崎県「描いてみんね」事業

出島和蘭商館跡の中央通りを歩く恩田さん(左から2人目)=長崎市

 小説家や漫画家らを取材旅行に招く長崎県の「描いてみんね!長崎」事業の一環で、小説家の恩田陸さん(57)が29日、長崎市出島町の国指定史跡「出島和蘭商館跡」を訪れた。恩田さんは「シュガーロードや和菓子の歴史に興味があり、食べ物からアプローチし、現代の長崎を舞台にした短編小説を私なりの切り口で書いてみたい」と話した。
 「描いてみんね!長崎」事業は2016年度に始まり、恩田さんが21人目。
 恩田さんは宮城県出身。1992年、ホラー小説「六番目の小夜子」でデビュー。2017年、ピアノコンクールを舞台とした青春小説「蜜蜂と遠雷」で直木賞と本屋大賞を受賞。幅広いジャンルの小説を手がけている。

本馬さん(右)の説明に耳を傾ける恩田さん=長崎市、出島和蘭商館跡

 恩田さんは27日から2泊3日の日程で、長崎市のグラバー園や大浦天主堂、外海地区のド・ロ神父記念館、市内の菓子店などを巡りながら、県長崎学アドバイザーの本馬貞夫さん(73)の解説に耳を傾けた。
 恩田さんは「潜伏キリシタンの平べったい墓など興味深かった。長崎のさまざまな歴史を踏まえて書くつもり。ミステリーやホラー系の作品になるかもしれない」と話した。作品は、文藝春秋の月間小説誌「オール讀物(よみもの)」の9、10月合併号に掲載予定。


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