ラグビーリーグワンのプレーオフ(PO)決勝が29日に東京・国立競技場で行われ、埼玉県熊谷市を拠点とする埼玉パナソニックワイルドナイツが東京サントリーサンゴリアスを18―12で下し、初代王者となった。熊谷のカフェで観戦していたファンは熱狂し、商業施設ではくす玉も割られ、市内は祝福ムードに包まれた。
熊谷市と市観光協会はワイルドナイツ応援バスツアーを急きょ実施。参加者約60人は市役所に集合し、午前11時半に国立競技場にバスで向かった。妻の房子さん(72)と夫婦で参加した同市の森田徹男さん(74)は「互角の戦いなので本当に楽しみ。地元熊谷出身の山沢拓也選手に活躍してほしい」と期待を込めた。
午後3時に試合が始まると、同市小曽根の「ワイルドナイツカフェ」では約20人のファンが集結。大型ビジョンで試合の行方を食い入るように見守った。トライが決まったり、取り消されたりすると、一喜一憂しながら試合を観戦。山沢選手の奮闘などで優勝が決まると、両手を突き上げ、ハイタッチしたり、抱き合ったりして、喜びを爆発させた。
「どちらが勝つか分からない試合だったので、見ていてどきどきしたけど、すごくうれしい」。ワイルドナイツの本拠地付近に住み、練習も見学していたという出野孝之さん(50)は満足そうだった。同市在住で40代の山本陽子さんも「優勝して本当に良かった。ワイルドナイツが熊谷に来てくれたおかげでラグビーにはまった。本当に感謝したいし、もっと熊谷を盛り上げてほしい」と喜びを語った。
同市筑波の商業施設「アズ熊谷」の3階にあるワイルドナイツミュージアムでは午後5時ごろ、「埼玉パナソニックワイルドナイツ 祝優勝」の垂れ幕が入ったくす玉が割られた。ファンから祝福の拍手が湧いた。
行田市の芹沢大智さん(35)は、長男の琉維ちゃん(1)を抱いてくす玉割りに参加した。高校ラグビーの伝統校・熊谷工高出身の芹沢さん。「地元のワイルドナイツの優勝で、熊谷が盛り上がっている」と笑顔だった。
高校生のバスケットボールチームも足を止めた。北本市の鶴岡吉宗さん(17)は「地域が盛り上がっているのは、スポーツの力だと思う」。深谷市の斉藤琉我さん(17)は「稲垣啓太選手のファン。深谷高出身の山沢拓也選手もよく頑張っていると思う」と話した。
アズ熊谷を含む熊谷市内の大型商業施設ティアラ21やニットーモール、八木橋百貨店、イオン熊谷店は6月4~19日に5館合同企画「優勝おめでとう」を開催。同4、5日はワイルドナイツネーム焼き印入り「特製どら焼き」を各館各日100個限定で先着プレゼントし、同4~19日は熊谷まちあるきアプリ「くまぶら」で、ワイルドナイツ優勝記念オフィシャルTシャツが抽選で当たる企画も実施する。
■埼玉新聞社、埼玉パナ初優勝で号外
埼玉新聞社は29日夜、埼玉パナソニックワイルドナイツのリーグワンプレーオフ優勝を報じた号外2千部を熊谷駅で配布した。
「埼玉パナ 初代王者」の大見出しと、後半33分にトライを決めたCTBのライリー選手の迫力ある写真が躍る号外に、国立競技場から帰宅の途に就く地元ラグビーファンをはじめ多くの市民が紙面を受け取った。