藤沢市、道路境界線の設定ミス 建築基準法違反で住宅再建費2345万円賠償

謝罪する三上計画建築部長(右)ら=藤沢市役所

 神奈川県藤沢市は30日、市による道路境界線の設定ミスで建築基準法に違反する状態になった一戸建て住宅の所有者に、同法に適合させるための再建築費などとして約2345万円を賠償すると発表した。 

 同法は住宅が面する道路の幅を4メートル以上確保すると定めており、狭い道路の場合は、対象住宅の敷地内側に建物の壁面をセットバック(後退)して建設し、道路を確保する必要がある。

 市は2014年から3年間かけ、市内の延べ約6800路線の位置や幅員など記載した指定道路調書を作成した。賠償の対象となる一戸建て住宅は、18年に建築された建物で、調書には道路境界線が正しい位置よりも55センチ手前に設定されていた。誤りのある調書に従って建築したため、現況のままでは容積率や建ぺい率が超過してしまうことになった。

 市の現地調査で誤りが判明した。調書の作成業務を受託した業者から質疑が出されていたが、十分な確認はなされなかった。

 市の三上雅之計画建築部長は「所有者にご迷惑をかけ、多大の賠償金が生じる結果になった。おわびする」と謝罪した。市は、損害賠償に要する費用を22年度一般会計補正予算案に計上した。

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