33回目、最後の“声”奉納 朗唱家の天童さん 対馬・和多都美神社

再建された一の鳥居から「声」を奉納する天童さん=対馬市内

 朗唱家の天童大人さん(78)=東京=が5月30日、海中鳥居で知られる長崎県対馬市豊玉町の和多都美神社で「声」を奉納。独特の野太い声や甲高い声を周囲に響き渡らせた。
 詩を朗読する芸術家の天童さんは1972年以降、世界各地の聖堂や古代劇場などで声をささげてきた。83年に同神社を初めて訪れた際、音が周囲の山々に反響して通り抜ける「声の道」があることを発見。90年以降、5月か6月の新月の日に同神社を訪れ、元寇(げんこう)の戦没者を弔うなどの目的で声の奉納を続けている。
 この日は、昨年夏に再建された「一の鳥居」の下に立ち、250メートルほど離れた本殿に向かい、声を奉納。同行した詩人の乙益由美子さん(65)=東京都=も自作の詩を朗読した。詩人で福岡県筑豊地方の炭鉱で歌われていた民謡「ゴットン節」の唄い手、友理さん(34)=飯塚市=も同曲を歌った。
 声の奉納は33回目だが今回で終える。天童さんは「ロシアのウクライナ侵攻の終結も願って奉納した。今まで続けられてよかった」と話した。


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