2021-22シーズンが閉幕した欧州主要リーグ。
ここでは、『Transfermarkt』で今季最も市場価値が上昇した選手を調べてみた。同率が多いため6位タイから。
6位タイ ティーノ・リヴラメント
__所属:サウサンプトン
現市場価値:2500万ユーロ(33億円)
上昇額:2500万ユーロ(33億円)__
19歳の右サイドバック。
もとはチェルシーで期待されていた逸材だが、500万ポンド(8億円)でセインツに引き抜かれると一気にブレイクした。
今季は開幕戦にスタメン起用されるなど、プレミアリーグ28試合に出場。18歳の選手がプレミアリーグで開幕6試合連続スタメン起用されるのは、2010-11シーズンのフィル・ジョーンズ以来のことだった。
テオ・ウォルコットはサイドバック時代のギャレス・ベイルを思い起こさせると評価。「スピードとパワーがある。ボールを持ってもとても強く、非常にクレバー。技術的にも素晴らしい」と賞賛している。
なお、チェルシーは2500万ポンド(40億円)での買い戻し条項を持っているとか。
6位タイ カリム・アデイェミ
__所属:レッドブル・ザルツブルク(ドルトムントへの移籍決定)
現市場価値:3500万ユーロ(47億円)
上昇額:2500万ユーロ(33億円)__
ドルトムントがハーランドの後釜として獲得した20歳のストライカー。
ナイジェリア人の父とルーマニア人の母のもと、ドイツで生まれた。
ハーランドと南野拓実を失った後のザルツブルクで攻撃陣の核に成長。今季はオーストリア1部で28試合で19ゴールと大爆発し、19歳でデビューしたドイツ代表でもいきなり得点を奪っている。
彼は左利きだが、アリエン・ロッベンのプレーを参考にしてきたそう。
ザルツブルクのマティーアス・ヤイスレ監督は「ストライカーに必要なものをほぼ全て持っている。クオリティとスピードはえげつない。誰もが彼に巨大なポテンシャルを感じている」と賞賛。
ドイツ代表のフリック監督もゴール前での冷酷さを評価しており、ワールドカップで日本の前に立ちふさがるかもしれない。
6位タイ マテウス・ヌネス
__所属:スポルティング
現市場価値:3000万ユーロ(40億円)
上昇額:2500万ユーロ(33億円)__
23歳のMF、ブラジル生まれのポルトガル代表。マンチェスター・シティなどのプレミアリーグクラブが彼の獲得を狙っている選手だ。
12歳でポルトガルに移住すると、2021年にパスポートを取得。ブラジル代表にも招集されたが、ポルトガルを選んだ。
本人は「セレソン招集には興奮したけれど、家族の話を聞いてポルトガルを選んだ」、「ブラジルではファヴェーラ(スラム街)に暮らしていて、食べ物がないこともあった」と話している。
なんでもスポルティングでブルーノ・フェルナンデスの背番号8を受け継ぐ際、わざわざ本人に確認をとったとか。
6位タイ ジェレミ・ピノ
__所属:ビジャレアル
現市場価値:4000万ユーロ(54億円)
上昇額:2500万ユーロ(33億円)__
ビジャレアルで久保建英とポジションを争った19歳のスペイン代表ウィング。バルセロナMFペドリと同じカナリア諸島の出身だ。
テクニックと得点力を兼ね備えた逸材で、弱冠18歳で代表デビューを果たすと、すでにゴールも決めている。
2~3歳からボールを蹴り始めたストリート育ちで、14歳でビジャレアルに加入する際にはバルセロナを断ったそう。友達もいたというのが理由のひとつだったとか。
レアル・マドリーやアーセナルなどが狙っているとも噂されている。今冬のワールドカップでは久保と再会するかも?
6位タイ ラファエウ・レアオン
__所属:ミラン
現市場価値:5000万ユーロ(67億円)
上昇額:2500万ユーロ(33億円)__
22歳のポルトガル代表アタッカー。190cm近い長身ながら技術と決定力、スピードを兼ね備えた逸材だ。
左サイドを主戦場とするが、今季はセリエAで11ゴールとついにそのポテンシャルが開花。スクデット獲得に貢献すると年間MVPも受賞した。
あのファビオ・カペッロも「素晴らしい選手だ。非常に興味深い。最近はやや利己的に見えるが、それは些細なこと。テオ・エルナンデスと彼がいる左サイドは世界最高峰」と賞賛。
また、ズラタン・イブラヒモヴィッチも「彼は若いが、成熟している。あの才能はまだまだ成長できる。これまでとは完全に変わった。自分が何をするべきかを見つけ出した」と評価している。
6位タイ フロリアン・ヴィッツ
__所属:レヴァークーゼン
現市場価値:7000万ユーロ(94億円)
上昇額:2500万ユーロ(33億円)__
19歳のドイツ代表MF。
テクニックだけでなく、若さに似合わぬインテリジェンスを兼ね備えており、ドイツの最年少記録を次々に塗り替えている神童だ。
2020年6月のバイエルン戦でマヌエル・ノイアー相手にブンデスリーガ最年少得点記録を樹立(17歳と34日)。18歳と145日でのブンデス史上最速10ゴール到達も記録している。
そんな彼は大のバルセロナ好きだと公言している。3月に前十字靭帯断裂の重傷を負ったが、ワールドカップには間に合う可能性もある。
5位 ルイス・ディアス
__所属:リヴァプール
現市場価値:4500万ユーロ(60億円)
上昇額:2700万ユーロ(36億円)__
25歳のコロンビア代表アタッカー。ポルトでは中島翔哉を控えに追いやると、リヴァプールではすぐさまフィットして瞬く間に主力になった。
リヴァプール最速レベルのスピードを持っているほか、あのディルク・カイトも肺に嫉妬するほどの運動量を誇る。
クロップ監督は「トッププレイヤー。全てを自然にやるので、監督するのが最も楽な選手」、DFフィルヒル・ファンダイクも「彼は相手が誰であろうと関係なく向かっていく。ボールを失っても、奪取して、もう一度向かっていく。だから、彼に対する守備はすごく難しいのさ」と賞賛。
先日、南野拓実がゴールを決めた際にはInstagramで拍手のいいねを送っている。
4位 アルナウト・ダンジュマ
__所属:ビジャレアル
現市場価値:5000万ユーロ(67億円)
上昇額:3500万ユーロ(47億円)__
25歳のオランダ代表アタッカー。オランダ人の父とナイジェリア人の母を持つ。
スピードと技術を兼ね備えたドリブル突破、高いキック精度を活かしたシュートは破壊的だ。21歳で代表デビューするなど期待されてきたが、ようやく本格的にブレイクを果たした。
今季はリーガで10ゴールを決めたほか、CLでも6ゴールを叩き出し、チームの大躍進に貢献。
本人はウナイ・エメリ監督の細かい戦術指導で成長できたと感謝を口にしている。
ホームレスになったり、兄弟とともに里親のもとで過ごすなどした幼少期のタフな経験が選手としての野心につながっているそう。
「何事も当たり前だと思っていない。苦難を経験することで人格が形成され、いい特徴が生まれると心から信じている」とも話している。
3位 ドゥシャン・ヴラホヴィッチ
__所属:ユヴェントス
現市場価値:8500万ユーロ(114億円)
上昇額:4500万ユーロ(60億円)__
22歳のセルビア代表FW。1月にユーヴェが7000万ユーロ(90億円)で獲得した大型ストライカーだ。
22歳と78日でセリエA通算50を達成するなどイタリアでの実績は十分(彼以上に速くセリエA50ゴールを記録した外国人選手はアレシャンドレ・パトだけ)。
ジャンルイージ・ブッフォンは「彼はハーランドとエムバペと並ぶ世界最高の若手。普通ではないものを持っている。フィジカルとダイナミックさを持つ“9番”の進化系だ」と高く評価している。
ユーヴェではクリスティアーノ・ロナウドの7番を受け継ぐことになったが、本人は「正直、7番は自分にとっては何の意味もない。この番号を選んだのは、9番に一番近かったからさ」と語っている。
1位タイ ガビ
__所属:バルセロナ
現市場価値:6000万ユーロ(81億円)
上昇額:6000万ユーロ(81億円)__
17歳のスペイン代表MF。
弱冠17歳と62日でスペイン代表史上最年少デビューを果たし、「サッカーの申し子」とルイス・エンリケ監督から絶賛されたほどの才能を持つ。
また、ダニ・アウヴェスも「競争心のかたまりのような信じられないクオリティがある選手」と絶賛している。
技術の高さはもちろんのこと、左右両足が使えるうえ、出し手にも受け手にもなれる。体格は小柄ながら、アグレッシブで球際での負けん気の強さも魅力の一つだ。
幼い頃からスパイクの紐を結ぶのが苦手だったため、ほどけた状態までプレーすることが多い。
1位タイ ヴィニシウス・ジュニオール
__所属:レアル・マドリー
現市場価値:1億ユーロ(135億円)
上昇額:6000万ユーロ(81億円)__
21歳のブラジル代表FW。
4500万ユーロ(60億円)もの移籍金でレアルに引き抜かれた至宝が、今季ついに大爆発した。
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プレッシャーや感情をコントロールするためにメンタルコーチをつけたり、食生活を管理するなどした結果、課題とされてきた得点力が大幅に改善。今季全コンペティションで22ゴールを決めるなどチームの得点源になり、自陣初のビッグイヤーも獲得した。