解体中の本堂を公開 長崎・聖福寺の重文修理工事 市民向け見学会

解体のため瓦を取り外した大雄宝殿の屋根を見学する参加者=長崎市、聖福寺

 敷地内の重要文化財4棟の修理工事が進む長崎市玉園町の聖福寺(しょうふくじ)(田谷昌弘住職)で4日、市民向け現場見学会があり、修理のため解体中の本堂「大雄宝殿」などが公開された。
 同寺は中国の影響が濃い禅宗の一派、黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院で江戸前期創建。1700年代初めまでに建立された4棟は老朽化が激しく、同寺が国、県、市の支援を受け、10年間かけて一括修復する工事に昨年着手した。
 見学会は昨年秋に続き2回目。大雄宝殿の現場公開は初めて。4、5の両日に午前と午後の各1回(計4回)、事前応募した市民を現場に案内している。
 4日午前は約20人が参加。大雄宝殿は全体が仮設の屋根や囲いに覆われており、最上層の屋根の瓦がほぼ取り外された状態。参加者は工事の設計管理担当者らの案内で、屋根の周囲に組まれた足場の上まで行き、間近に様子を見学した。
 4棟のうち既に解体が終わった山門の現場も見学。担当者が実際に使われていた部材や模型を使い、くぎを使わずに木材を組み立てた創建当時の工法を、分かりやすく説明していた。
 見学に加わった県長崎学アドバイザーの郷土史家、本馬貞夫さん(73)は「古い建物を解体する匠(たくみ)の技に感動した。(聖福寺を創建した)鉄心禅師が身近に感じられた」と話した。

 


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