トヨタ受難の1日。ラッピとエバンスがデイリタイアも、ロバンペラが5番手に浮上/WRC第5戦 デイ3

 6月4日(土)、WRC世界ラリー選手権第5戦イタリアのデイ3が、サルディニア島北部で行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTは前日8番手だったカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が同5番手に順位を上げた。

 一方、デイ2で首位に立ったエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)はアクシデントによりデイリタイアに。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)もサスペンションにダメージを負ったことで、2日連続のデイリタイアとなっている。

 ラリー・イタリア・サルディニアの競技3日目は島の西海岸、アルゲーロのサービスパークを起点に、島の北部に設定された4本のステージで合計8SSで争われた。この日も前日に続き天気は良好、気温もかなり上昇し、路面は終日ドライコンディションが保たれた。

 デイ2で首位に立ったラッピは、朝のSS10の道幅が狭いセクションでコントロールを失い、クルマの両サイドを連続でヒットし、クルマのリヤ左右にダメージを受けた。このアクシデントによってラッピ車は競技続行不可能となりデイリタイアとなっている。

 その結果、トヨタ勢では総合6位に順位を上げた勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1/TGR WRTネクストジェネレーション)が最上位の6番手となり、7番手のロバンペラがこれを追う展開に。すると、ロバンペラは続くSS11で勝田を抜き総合6番手に浮上。SS12でドライバー選手権2位につけるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)がアクシデントによりデイリタイアとなったことで、ロバンペラは大きなリスクを冒して順位を上げる必要がなくなり確実性の高い走りにシフトする。

 それでも午後はSS14でステージ2番手タイム、SS16では3番手タイムを記録するなど、前を走るアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)との差を着実に縮めていったロバンペラ。デイ3最後のステージを前に9.3秒差まで迫った彼は、3日目最後のSS17ではライバルがリタイアしたことで順位をひとつ上げ、総合5番手で1日を終えている。

デイ3オープニングのSS10でクラッシュを喫したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第5戦ラリー・イタリア・サルディニア

■勝田はラジエター損傷などを抱えながらも6番手でフィニッシュ

 また、勝田は午後のステージでクルマのフロントにダメージを負ったため、ペースを落として走らざるを得えなかったが、最後まで確実に走り抜き総合6番手でデイ3を走破した。

 なお、前日のデイリタイアを経て再出走したエバンスは、SS16でサスペンションにダメージを受け今大会2度目のデイリタイアに。チームはサービスでクルマを直し、エバンスは最終日にふたたび出走する予定だ。

「今日は気温が高く、路面コンディションも荒れていて、非常に困難な1日だった」と語るのは、TGR WRTのスポーティング・ディレクターを務めるカイ・リンドストローム。

「今朝のエサペッカ(・ラッピ)のことはとても残念だ。素晴らしい戦いをしていたのに、あのような結果になってしまったことが残念でならない。幸いにもクルマを修理することができたので、明日は再出走してポイントを狙うことができるだろう」

「カッレ(・ロバンペラ)は今日もとても良い仕事をした。一番の目標はドライバー選手権のライバルの前にい続けることだったため、ヌービルが脱落した後はクレイジーに走る必要はなかった。また、(勝田)貴元は問題を抱えながらも最後まで走り切ったので、良かったと思う」

 競技最終日となる5日(日)のデイ4はSS18~21が行われ、選手たちはアルゲーロのサービスパークを起点に島の北部で2本のグラベルステージを各2回走行する。このうち最終SS21は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される“パワーステージ”となっている。4本のSS合計距離は39.30km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は192.31kmだ。

総合6番手でラリー最終日に向かう勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第5戦ラリー・イタリア・サルディニア
エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)はサスペンションの損傷で2日続けてのデイリタイアに。 2022年WRC第5戦ラリー・イタリア・サルディニア

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