「除毛剤を顔ひげに使わないで」若い男性の〝美容意識〟高まりトラブルも続発 湿疹やかぶれ「解約できない」という相談も

 若い男性の美容意識が高まっている。消費者庁白書によると、15~19歳の男性で「美容のためにお金や時間をかけたい」と答えた人は、2021年に79%に上った。「自分に自信を持ちたい」「コンプレックスを解消したい」といった心理がうかがえる。ただ、脱毛エステなどは高額で手を出しにくい。そんな若者の間で人気なのが「除毛剤」だ。
 手足や脇の体毛をなくすことができる。割安な一方で、トラブルも多発。消費生活センターなどに寄せられる商品・サービス別の相談では、15~19歳の男性で最も多い。「体質に合わない」「解約できない」といったトラブルのほか、意外と多いのが「顔に塗ったら湿疹やかぶれが出た」。ひげの除毛に試したとみられ、消費者庁は顔に使わないよう、注意を呼びかけている。(共同通信=池上いぶき)

 ▽目立つ若者の相談

消費者庁提供

 7日に閣議決定された22年版消費者白書によると、21年に15~19歳の男性から寄せられた商品やサービスに関する相談では、除毛剤が約11%。インターネットゲームや出会い系サイト・アプリなどを抑え1位だ。19年、20年も1位。年代別に見ても、除毛剤で何らかの症状が出たという相談者の6割超は10~20代だ。

 ▽お試しのつもりが

 21年5月、SNSを見て購入した除毛クリームを使った20代の男性は、発疹が出てしまった。定期購入だったため、中途解約しようと思って連絡すると、「5回購入が条件です」と断られたという。
 

消費者庁提供

 除毛剤に限らず、インターネット通販やネット広告経由での買い物では、「お試し」のつもりで購入したのに、実は定期購入だったり、解約したくても電話がつながらなかったりといったトラブルが多い。
 特徴は、初回購入代として提示される金額が千円前後と安価であること。気軽に手を伸ばした結果、2回目以降は通常額に戻るなどし、契約が数万円単位になるケースもある。
 ただ、6月1日に施行された改正特定商取引法は、ネット上の通信販売サイトなどの事業者に対し、契約内容や解約方法を最終確認画面で利用者に明示するよう求めた。
 

消費者庁提供

 利用者を誤認させるような表示があった場合、契約を取り消せる可能性もあるが、消費者庁の担当者は「まずは『お試し』の文言につられず、購入前に契約内容をよく確認すること」と注意を促した。

 ▽顔には使わないで

 トラブルは契約関連だけでなく、使用時にも。除毛剤が肌に合わなかったり、使用方法を間違えたりして、発疹やかぶれが出る場合がある。
 医薬部外品に分類されており、顔面や傷がある部位には使用しないよう「使用上の注意」に記載されている。しかし、17~21年に男性から寄せられた相談で「何らかの症状が出た」のは327件。そのうち「顔面」が75件と約2割に上った。

消費者庁提供

 消費者庁は(1)肌に合うかどうか事前にテストする(2)顔には使わない―と呼びかけている。

 ▽購入はより慎重に

 契約過程に問題があった場合に、契約を取り消せる可能性があることは前述の通り。それ以前に、未成年であれば親に無断で結んだ契約を後になって破棄できる「未成年者取り消し権」がある。
 ただ、気をつけないといけないのは4月から成人年齢が引き下げられたため、18歳と19歳はこの取り消し権の対象から外れたこと。除毛剤は直接肌に触れるものでもあり、購入の際はより慎重に検討してほしい。

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