V・ファーレンロードを歩く 諫早駅からスタジアム 地図を手に街の魅力発見

諫早市と諫早観光物産コンベンション協会が作製した「V・ファーレンロードをゆくイサハヤマップ」

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎の本拠地がある諫早市で、徒歩でスタジアムを目指すサポーターに活用してほしいと、市と諫早観光物産コンベンション協会は「V・ファーレンロードをゆくイサハヤマップ」を作製した。地図を片手に、スタジアムを目指し歩いてみた。

 V・ファーレンロードは市が交通混雑防止を目的に徒歩での来場を呼びかけ2018年、看板やのぼりを設置した。遠方から訪れた人を歓迎しようと、自主的に始まった沿道のおもてなしも話題を呼んだ。ホーム戦開催日には近隣の臨時駐車場からシャトルバスも運行していたが、コロナ禍などで中止が続き、現在も歩く人の数は多い。
 地図は諫早駅観光案内PRコーナーなどで配布している。スタジアムへ続く道順の他、ほっこりとした雰囲気のイラストで諫早の見どころが描かれ、「さまざまな情報が入ってわかりやすい」と好評だ。四つ折りB3判。持ち歩くには少し持て余すかもしれないが、担当者は「紙の地図ならではの手触りにもこだわった」と胸を張る。スマホの地図とはひと味違う、広げた時のワクワク感があり、宝探しに出発するような楽しさが魅力だ。
 お茶の間通り商店街を通ってヴィヴィくんマンホールへ。17年から市が設置しており、地図に記載されている場所以外にも数カ所あるという。自分で見つけたスポットを地図に書き加えながら歩くのも楽しいかもしれない。

V・ファーレンロードを通りスタジアムへ向かうサポーター=諫早市内

 スタジアム方向を示す矢印は路上にも描かれ、初めて訪れる人も迷わないようにとの工夫を感じる。競技場北口のバス停を過ぎればゴールは目の前。約2キロ、約25分の道のりだ。
 歩いた感想として、道中に休憩できる場所が少ないことが気になった。暑い季節は日陰も恋しくなる。子どもや年配者など、疲れた時に座るベンチが随所にあれば、うれしいのではないか。観戦後、帰りは同じ道を戻るだけというのも、少々もったいない気がする。アフターコロナを見据えると、ホーム戦の日だけでも周回バスなどがあれば、諫早市中心部にも、にぎわいを誘導できるのではないだろうか。ホーム戦の人出は、これまでに最大約2万人超。試合後の選択肢を増やすことで、街全体で盛り上がる雰囲気づくりにも、つながるように思う。
 24年にV長崎の本拠地は長崎市へ移転する予定だが、諫早市は本拠地が諫早にある限りはマップを切らさないよう、増刷していきたいとしている。同協会は「地元の人にも諫早の魅力を再発見できるツールとして活用してほしい」と話す。
 地図には、ネコの形をした珍しい地神や、諫早を守った大亀伝説の紹介など、地元の人でもあまり知らないような情報も満載。持ち歩いた地図はポケットから出すたび、くしゃくしゃになったが、それも紙の味わい。見返して、また諫早に来たいと思う人が1人でも増えればと願う。

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