【DeNA】エスコバー 球団歴代外国人最多勝利17まであと1勝 

球団の外国人最多勝利数にあと1と迫っているエスコバー

 「男は黙って投げるだけ」─。お立ち台でお決まりのせりふを放ち、ファンを沸かせる横浜DeNAのエドウィン・エスコバー投手(30)が、球団の外国人最多勝利数の17にあと1と迫っている。2017年シーズン途中から加入し、救援陣の顔として奮闘するサウスポー。下位に低迷するチームにあって、むき出しの闘争心と優しさで仲間を支える。

 ブルペンの扉が開けば、188センチ、102キロの体を揺らしてマウンドへ。5日の楽天戦(横浜)では5─4の八回から登板。四球を与えながらも、158キロのストレートで代打西川を空振り三振に仕留めるなど、9試合連続無失点とした。

 4年連続で50試合以上に登板するタフネス左腕は、ここまでリーグ2位タイの25試合に登板。左投手のNPB歴代最速記録となる163キロの直球を軸に、打者の手元で微妙に変化するツーシームやスライダーを操り強打者を抑え込んできた。

 球団の外国人投手の平均在籍年数はわずか1.4。今季6年目となる背番号62は異彩を放つ存在だ。「制球がアバウトな外国人は1、2年もすれば傾向が読まれ、丸裸にされてしまうもの。エスコバーは勉強熱心で、それを凌駕(りょうが)していった」と球団の担当者。春季キャンプでは新球チェンジアップに挑戦するなど現状にとどまろうとしない。

 投手陣だけのミーティングでは率先して前に出て発言することもあれば、敗戦投手に優しく声をかけることもある。

 「自分のボールに自信を持てば大丈夫」「攻める姿勢を忘れるな」─。そんな左腕に、エース今永も「練習から一つ一つ丁寧だし、文句を言っている姿を見たことがない。チームを明るい方向に導くことができる存在」と厚い信頼を寄せる。

 「与えられたところで自分の力、責任を全うしたい」とエスコバー。武骨なリリーバーにとって、節目の勝利もきっと次のマウンドへの一歩に過ぎない。

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