電気がある日常を守りたい…高所で作業訓練中 北陸電力送配電の二口真帆さん

真剣な表情で高所での作業訓練を繰り返す二口真帆さん=福井県福井市高屋町の北陸電力送配電北庄変電所(日本空撮・小型無人機ドローンで撮影)
「電力を安定して届ける責任があるんです」と話す二口真帆さん

 電気がある日常が日常であり続けるために―。停電復旧に向け、高所での作業訓練を繰り返す二口真帆さん(26)=福井県福井市。「みなさんの生活を支える電力を安定して届ける責任があるんです」。そう覚悟を示し、手際よく保守点検をこなす。

 訓練では、命綱を付けたハーネスやはしごの付け方といった基本のほか、断線の修復など停電の対処法、変圧器の新設や撤去の技術も身につける。高所から工具や資材を落とさないよう注意も怠らない。一つのミスが「自分の命だけでなく、現場の仲間や一般の方を巻き込む災害に発展する可能性がありますから」と気を引き締める。

 2年前の新入社員研修で、地上約14メートルの電柱に初めて登った。約10種類の工具を携える腰ベルトなど装備だけで重さ10キロを超え、思うように上へ行けなかった。電柱の足場は棒状で不安定なため、体勢をこまめに変えながら作業を進めなければならない。怖い感情よりも「自分の体をコントロールする筋力が足りない」ことを痛感した。腹筋15分を日課にしたところ「入社時より、かなり力持ちになりましたよ」。風が強くても動じなくなった。

 昨年度までは、地上から電柱や電線の点検を担当した。1日約100本の電柱を歩いて見回り、カラスの巣がないか、電線にかかる木はないか目を光らせてきた。「見落としはお客さまの生活に関わる」と鋭いまなざしを見せる。

 富山県出身。生活に欠かせないインフラの技術職に関われたらと、北陸電力送配電に入社した。訓練と座学を8月上旬まで続け、ようやく高圧電線の作業を担うことができる“一人前”になれる。「ライフラインに携わっているという責任と自覚が、より湧いてきますね」

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