SNS投稿「野菜あります」は野菜じゃない 栃木県警、大麻摘発が過去最多

県内の大麻取締法違反摘発者の推移

 栃木県警による2021年の大麻取締法違反事件の摘発者数が前年の2倍の44人となり、記録が残る1990年以降で最多となったことが7日までに、県警のまとめで分かった。10~20代の若年層が前年比13人増の29人に上り、全体の約7割を占めた。交流サイト(SNS)の普及で入手しやすくなった上、「大麻は安全」などと誤った情報も出回っているという。県警は摘発に力を入れ、「安易に手を出せば心身に深刻な影響がある」と警鐘を鳴らす。

 「新鮮野菜あります」「宇都宮手押し」。ネット上には大麻の取引を示唆する投稿が並ぶ。野菜は「大麻」、手押しは「手渡し」を意味する隠語。県内での手渡しの提案も複数ある。

 県警によると、21年の所持や栽培など同法違反容疑の摘発者44人では、20代が最多で前年比14人増の24人だった。続いて40代は前年のゼロから9人に増加。30代は1人増の6人、10代は1人減の5人だった。

 過去5年間の摘発者数は18年が最多の36人。その後、2年連続で減少し、21年は過去最多に急増した。

 県警は要因について20代の増加が顕著だとし、「身近な友人の影響やSNSの利用が助長している」と指摘。「海外では一部合法な国もあり、誤った認識が広がっている」と危惧する。

 今年は4月末までに、前年同期比5人増の9人を摘発しており、昨年を上回るペースとなっている。

 大麻は「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれる。より依存性や刺激の強い覚醒剤といった薬物使用の入り口となりやすく、脳機能障害など心身に深刻な影響を与える恐れがある。

 警察庁が、昨年10~11月に全国で同法違反容疑(単純所持)で摘発された容疑者829人を調査した結果、初めて大麻を使用した時の年齢は「20歳未満」が最多で47%に上った。危険性の認識は「全くない」「あまりない」が計77%で、低年齢化と危機意識の希薄さが浮き彫りになった。

 違法栽培では、宇都宮市の倉庫や民家で栽培していた摘発例がある。屋内で照明を当てて栽培するため、窓を一日中、雨戸や遮光カーテンでふさぐケースが多いという。県警は「不審な点のある家屋などがあれば通報してほしい」としている。

隠語を使ったSNS大麻取引のイメージ

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