【日本薬剤師会】骨太方針2022への見解を公表「リフィル処方箋の普及・定着を図る方向性が明確にされた」

【2022.06.08配信】日本薬剤師会は6月8日に定例会見を開いた。その中で山本信夫会長は前日に公表された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針)への見解を示した。「リフィル処方箋の普及・定着を図る方向性が明確にされた」などとした。

見解をペーパーで次の通り公表した。

■「経済財政運営と改革の基本方針 2022」 の閣議決定を受けて

政府は昨日、 「経済財政運営と改革の基本方針 2022」 を閣議決定しました。
世界を一変させた新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵略、気候変動問題など世界的な構造変化とともに、国内においてはコロナ禍で更に進む人口減少・少子高齢化、潜在成長率の停滞、 災害の頻発化・激甚化などの複合的な難局に対し、 課題解決と経済成長を同時に実現しながら、 経済社会の構造を変化に対してより強靭で持続可能なものに変革する方針とその具体事項 (当面の難局を乗り越えるためのマクロ経済運営の方針を示すとともに、 「人への投資」 「科学技術イノベーションへの投資」 「スタートアッブへの投資」 「グリーントランスフォーメーション (GX) デジタルトランスフォーメーション (DX)への投資」 を柱とする 「新しい資本主義」の実現に向けた施策など) が示されています。

社会保障分野では、 全世代型社会保障の構築に向けて世代間の負担の公平性を目指すともに、「成長と分配の好循環」の実現を図るとされています。 また、医療分野でも DX 化とイノベーションを進め、積極的にデータヘルス改革を推し進めるため、薬局においてもオンライン資格確認システムの導入を義務付けるとともに、 マイナンバーカードの保険証利用をさらに進めるため関連する支援等の措置を見直すとされています。 また、 リフィル処方箋の普及・定着を図る方向性が明確にされました。

オンライン資格確認システムは、 保険資格の確認、 特定健診等情報 薬剤情報の閲覧はもとより、 今後、 電子処方箋の運用や全国医療情報プラットフォームにつながる重要な医療情報連携基盤と認識しています。 薬局 薬剤師としては医療 DX 化への適切な対応を含め、引き続き積極的な導入に尽力してまいります。 一方、 普及にあたっては、費用的な面等から対応が困難な薬局等への配慮も必要と考えます。 地域医療に混乱をもたらすことのないよう、政府関係行政におかれましては、医療機関・薬局等への導入・維持に必要な支援とともに、マイナンバーカードの保険証利用等について国民への丁寧な説明をお願いしたいと思います。

本会では本方針を踏まえつつ、今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延への対策も教訓とし、 新たな感染症等有事への対応を模索するとともに、併せて医薬品の品質・安定供給の確保とともに創薬力の強化を図り、 持続可能な社会保障の実現に向けた全世代型社会保障の構築等に取り組んでまいります。
また、昨日併せて閣議決定された規制改革実施計画においては、医療 DXの基盤整備を含む医療・介護・感染症対策として具体的事項も示されていますが、 本会では国民・患者の安全・安心を最優先に考えつつ、 地域医療提供体制、地域への医薬品提供体制、セルフケア/セルフメディケーションの支援や保健・公衆衛生サービス提供体制の向上等、 今後も引き続き 社会から寄せられる期待に的確に応え、薬剤師としての矜持をもってその責務を果たし、真に国民から信頼される薬剤師業務を実現すべく努めていく所存です。

令和4年6月8日
公益社団法人 日本薬剤師会
会長 山本 信夫

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