創業者ゆかりの地訪問 3年ぶりにライオン社員 菩提寺で墓参 柿崎区・光徳寺

 歯磨きやせっけんなどを製造販売する「LION(ライオン)」(本社・東京都墨田区)の創業者、小林富次郎(1852~1910年)は柿崎とゆかりが深く、4歳から16歳まで小林家の郷里、直海浜村(現・柿崎区直海浜)で育った。8日、同社の社員が小林家の菩提(ぼだい)寺である同地の光徳寺を3年ぶりに訪れて墓参し、住職らと交流した。

小林家の墓を参るライオン東京オフィス総務室長の片山さん(手前)ら

 小林富次郎は1852(嘉永5)年、父母の出稼ぎ先だった埼玉県与野町(現・さいたま市)で生まれ、4歳から16歳まで父母の古里である直海浜村で祖父母に育てられ、家業の酒造業と漁業に励んだ。25歳の時に東京のせっけん工場で働き、1891(明治24)年、後のライオンの前身である小林富次郎商店を開業。5年後に「獅子印ライオン歯磨き」を発売した。
 この日訪れたのは同社東京オフィス総務室の片山清室長(56)。小林家の墓を参った後、篠原真住職(78)から富次郎が勉強していた寺子屋の教科書や、東京に戻ってから住職とやりとりした手紙などを披露された。篠原住職は「情が厚く、菩提寺を忘れず、手紙を書かれていた」と紹介した。事業や眼病の苦労を重ねた分だけ、社会福祉に貢献し、慈善事業に力を注いだとされている。
 片山さんは「会社の祖である富次郎のいろいろな話を聞いて感動した。社内にもビデオや資料などはあるが、きょうのことも伝えていきたい」と話した。郷里の偉人を勉強し、歯磨きイベントなどを行っている下黒川小、柿崎小なども訪れた。

篠原住職(右)から寺に伝わる、小林富次郎に関する資料の説明を受けるライオンの片山総務室長(左奥)と案内役の柿崎まちづくり振興会の木村芳明総務部会長

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