監督解任

 「見ていて本当に楽しい」「彼を見られるのは特別なことだ」-。ショウヘイ・オオタニを語る時の弾んだ口調と笑顔がとても印象的だった。“野球好きのおじさん”にしか見えなかった▲公式戦で1382勝を記録し、最優秀監督にも3回輝いた名将だが、次の1勝があまりに遠かった。大谷翔平選手が所属する米大リーグ・エンゼルスのジョー・マドン監督がチームの成績不振を理由に解任された▲今季は開幕ダッシュに成功、一時は勝ち越しが11を数えた。だが、5月の下旬からぱったりと勝てなくなり、記録的な連敗で貯金を残らず食いつぶしてしまった。もちろん、負けるのは監督ばかりの責任ではないのだろうが▲プレーヤーとしての実績は乏しい。往年の名選手やエースが監督を務めることの多い日本のプロ野球では同じタイプを探すのがなかなか難しい▲若手選手の育成について「若い選手にミスはつきものだが、信じて起用し続ければ才能は必ず開花する」と話したこともあるマドン氏は「二刀流」の一番の理解者でもあった。監督の交代で起用法の変化を心配する声も広がる▲日本の球団の監督が12人全員言えるかどうか怪しいのに、この人の顔と名前は覚えてしまった…そんなファンもいるかも。お疲れさまでした。英語でどう言うのだろう。(智)


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